タイラー・レイク -命の奪還-(DOLBY VISION/Netflix)/Apple TVで観た映画のレビュー

タイラー・レイク -命の奪還-(DOLBY VISION/Netflix)

No Image 原題 EXTRACTION
レーベル Netflix
制作年度 2020年
上演時間 116分
監督 サム・ハーグレイヴ
出演 クリス・ヘムズワース、デヴィッド・ハーバー、ゴルシフテ・ファラハニ
画面 2.35:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY ATMOS 英語
字幕 日本語

あらすじ

 インドの麻薬王の息子オヴィが、ダッカの麻薬王に誘拐される。麻薬の取引の拡大を狙うためである。しかし、留置場にいるインドの麻薬王は、自身の資金を身代金として差し出すことを拒絶し、麻薬王の部下が傭兵部隊に奪還を要請する。傭兵部隊は傭兵のタイラー・レイクにオヴィの奪還を依頼し、彼はダッカに潜入してオヴィを取り戻す。ダッカの麻薬王はそれを知り、手懐けている警察も動員して、タイラーとオヴィを拿捕しようと躍起になる。タイラーは当初決められていた脱出ルートで逃げようとするのだが、ダッカの麻薬王の手が回り、新たな脱出方法を探る羽目にある。そして、オヴィとの逃避行の中、タイラーは過去の出来事に向かい合うことになる。

レビュー

 「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」、「アベンジャーズ:エンドゲーム」の監督で知られるジョー・ルッソがグラフィックノベルから脚本を書き上げ、「マイティ・ソー」シリーズで知られるクリス・ヘムズワースを主演に備えたアクション映画が、この「タイラー・レイク -命の奪還-」です。Netflixオリジナル映画であり、劇場公開はされていません。映画の評価は水準を越していて、一定程度の面白さを備えた作品に仕上がっています。

 物語の舞台がインドとダッカであるというのが、この映画を特徴づけていると思います。様々な傭兵を主人公にした映画はありますが、舞台となるのがインドとダッカであり、その両方の麻薬王の対立を巡ってダッカの麻薬王がインドの麻薬王の息子オヴィを誘拐してしまうという展開が、新鮮に感じるところであります。インドとダッカという治安が良くない地域での話であることから、主人公の味方と敵が分かりづらいところも物語のキーポイントであると言えます。

 その中で主人公タイラーは傭兵をしていて、オヴィの奪還を依頼されそれを受け付けてオヴィをダッカの麻薬王から取り戻すのですが、そこまでは順調に行ったかに見えた展開が、治安の良くないダッカでの逃避行ということから、麻薬王の手下だけでなく、警察もタイラーを捕まえようと躍起になり、孤立無援での戦いになってしまうところは、この映画の面白さになっていると言えます。

 そして、タイラーがオヴィと逃避行をするに連れて、彼の家族に降りかかった悲劇を思い起こされる部分があり、タイラーの人間味が感じられるようになっています。家族から逃げ、軍隊に入ったタイラーの心の弱さが垣間見え、タイラーに感情移入できるようになっています。その一方でタイラーと逃避行を続けるオヴィも少しずつ成長を遂げ、その成長に対する戸惑いを感じさせるのがタイラーとの比較でよく描けていると思います。

 ダッカの麻薬王の手下には年端も行かない子供たちが何人もおり、彼らがタイラーたちをつけ狙っているのですが、その子供たちの立ち位置も物語のキーポイントになっていると言えます。子供が犯罪に手を染めながらそれを異常に感じない描き方などは、さすがインド、ダッカという地域によるものかなと思います。その子供たちがクライマックスでも重要な役割を演じているのもポイントであります。

 映像は4K UHDでDOLBY VISIONで収録されています。マスターが4Kですので映像の精細感は抜群であります。細かいところまで描写が描かれていて、臨場感を感じさせるものがあります。色合いはインドの雰囲気を狙ったのか、赤みの強い色調になっていますが、それでもかなりバランスの良い発色になっていて、コントラストも明暗の差がはっきりしていて魅力があります。音響はDOLBY ATMOSで収録されていて、タイラーと麻薬王の手下や警察官との銃撃戦を中心に三次元サラウンド空間を形成しています。その場にいるかのようなイマーシヴ音場感は、映画のリアリティに一役買っていると言えます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました