シャン・チー/テン・リングスの伝説(4K UHD/IMAX ENHANCED/Disney+)

No Image 原題 SHANG-CHI AND THE LEGEND OF THE TEN RINGS
レーベル MARVEL STUDIOS
制作年度 2021年
上演時間 132分
監督 デスティン・ダニエル・クレットン
出演 シム・リウ、オークワフィナ、メンガー・チャン
画面 1.90:1(IMAXシーケンス)/DOLBY VISION,HDR10
音声 DOLBY ATMOS 英語
字幕 日本語

あらすじ

 1000年前から腕に10個のリングを嵌めて、世界の権力と富を欲していたウェンウー。彼は10個の腕輪の力で次々に敵を倒してきた。彼の部隊は「テン・リングス」と呼ばれ、無敵を誇っていた。しかし、ウェンウーの富と権力への欲求は留まるところを知らず、ター・ローという村にまで手を伸ばそうとしていた。しかし、ター・ローに行き着く前に、インという女性と出会い、二人は恋に落ちて結婚し、シャン・チーとシャーリンという子供を授かる。インの死後、ウェンウーはシャン・チーを暗殺者に育てようと厳しいカンフーの特訓をさせる。それに耐えてきたシャン・チーだったが、最終的にはウェンウーから逃げ出し、サンフランシスコでショーンという偽名で、ホテルのカープール係の仕事をしていた。シャン・チーの仕事仲間にはケイティという女性がおり、二人は友情を育んでいた。しかし、ある時バスに乗っていたところにテン・リングスの襲撃に遭い、母からもらったペンダントを奪われる。妹のシャーリンにも身の危険が迫っていると察知したシャン・チーはマカオまでケイティと一緒に移動し、シャーリンと再会するが、シャーリンの開いている格闘戦に参加させられる。そこにまたテン・リングスの襲撃があり、シャン・チーとケイティ、シャーリンは実父であるウェンウーと再会する。ウェンウーは、シャン・チーにテン・リングスを引き継いでもらいたがったのであるが、シャン・チーはそれを拒絶する。ター・ローの村への道筋を知らさせたシャン・チーたちは、ウェンウーより先駆けてター・ローの村に行き着く。

レビュー

 マーベル・シネマティック・ユニバースのフェイズ4の映画としては2作目に当たる作品が、この「シャン・チー/テン・リングスの伝説」です。マーベル映画の前作「ブラック・ウィドウ」が劇場とDisney+でのプレミアアクセスによる配信を同時に行ったことで、興行収入が思うように稼げなかったため、「シャン・チー/テン・リングスの伝説」は、劇場に45日間の独占上映権を与え、それが切れた2021年11月12日からDisney+で配信開始したという経緯を持っています。その成果は、「ブラック・ウィドウ」を上回る興行収入を稼ぎ出し、新型コロナウイルス感染拡大下のなかでは大ヒットを記録しています。批評家による批評も高水準で、Rotten Tomatoesの批評家評価は92%、観客評価は98%と極めて高い評価を得ています。

 映画はマーベル・シネマティック・ユニバース初のアジア人ヒーロー誕生物語になっています。主人公だけでなく、物語を彩る登場人物の大半がアジア人で占められており、明らかに中国市場を意識した作品であると言えるでしょう。ただし、主役のシャン・チーを演じたシム・リウの中国に対する発言が中国政府にとって問題視され、中国では上映されないという皮肉な結果をもたらしています。

 物語は、もう一つ、「ブラック・ウィドウ」と同じく家族の物語になっているとも言えます。ただ、「シャン・チー/テン・リングスの伝説」は、主人公シャン・チーが倒すべき敵が、実の父親であり、テロ組織「テン・リングス」のリーダーでもあるウェンウーであるという点が、「ブラック・ウィドウ」と大きく異なる点であります。ウェンウーは10個の腕輪を両手に嵌め、その腕輪の力を得て1000年も生き続け、自身のテロ組織「テン・リングス」を率いて敵対する邪魔者を次々に亡き者にして、世界を牛耳っている男であります。ウェンウーが息子であるシャン・チーを後継者に育てようと特訓するのですが、シャン・チーはそれを拒絶して、サンフランシスコに逃げ、名前を変えて人生を送っているところは、シャン・チーの心境をよく表しているかと思います。

 さらに、最後のクライマックスのシーンは、親子の戦いから絶対的悪と善との戦いにシフトし、善の人間の魂を喰らう悪と、シャン・チー、妹のシャーリン、友達のケイティが活躍をして悪を倒すための戦いに身を投じることになります。絶対的悪は、ウェンウーに死んだ妻の声で「助けて」と囁き、ウェンウーが絶対的悪を解放してしまうという失態を犯してしまいます。そのため、ウェンウーは魂を食われてしまい、死亡するという展開になっています。

 シャン・チーがしっかりしているのは、父と対決する際に、友達のケイティがついているからであり、二人の友情も映画の見どころの一つであるかと言えます。ケイティが予想以上に無謀な活動をするので、シャン・チーは彼女を守らざるを得ず、そのために最終的には実父と対決することになるという展開は、ケイティの立ち位置をよく表していると言えます。ケイティ以外にも、妹であるシャーリンや、叔母であるナンといった女性陣がシャン・チーを励まし、彼を奮い立たせる要素を持っていると思います。

 マーベル・シネマティック・ユニバースの一作ということで、他の作品との関連性が気になるところですが、ウェンウーが率いる「テン・リングス」というテロ組織は、「アイアンマン」、「アイアンマン3」で登場し、特に「アイアンマン3」では、「テン・リングス」のリーダーとしてマンダリンが登場していました。そのマンダリンは実は俳優による単なる演技に過ぎず、その俳優トレヴァーは今作でも登場します。そして、「ドクター・ストレンジ」に登場したウォンがシャーリンの格闘闘技場に登場するばかりか、ラストでも意外な立場で再登場します。この辺は、シリーズを見ていると面白いと思われるところです。

 映像は4K/DOLBY VISION,HDR10で収録されています。マスターフォーマットは2Kですので、アップスケール4Kになりますが、解像度としての不満はありません。再生機器の都合上、HDR10で鑑賞しましたが、映像は鮮明で、カラーが目の覚めるような煌めきを放っています。IMAX ENHANCEDということで、この作品は全編1.90:1のIMAXデジタルシアターでのアスペクト比で表示されますが、その画面領域の広さは、映像に没入感を与える魅力に満ちています。音響はDOLBY ATMOSの仕様で、音が前後左右上下さまざまなところから聞こえてきており、これも没入感を与える要素として効果的に作用しています。ただ、音量は少し小さく、ボリュームを上げる必要はあると思います。

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