アメリカン・サイコ(4K UHD/iTunes Movies)/Apple TVで観た映画のレビュー

アメリカン・サイコ(4K UHD/iTunes Movies)

No Image 原題 AMERICAN PSYCHO
レーベル LIONSGATE HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2000年
上演時間 102分
監督 メアリー・ハロン
出演 クリスチャン・ベイル、ウィレム・デフォー、ジャレッド・レトー
画面 2.40:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
字幕 日本語

あらすじ

 パトリック・ベイトマンは、若くして会社の副社長にまで上り詰め、ニューヨークの高級マンションに住み、高級レストランで食事をし、婚約者もいるという優れた環境にいた。しかし、ベイトマンはそれに物足りなさを感じていた。ある日、路地に住む浮浪者を殺害したのをきっかけに、ベイトマンは自分の会社の同僚や売春婦などを次々に殺し始める。彼の殺人への欲望は膨れ上がるばかりだったが、探偵が殺害者会社の同僚が行方不明になったと言って、ベイトマンのもとに調査に訪れる。次第に精神に異常をきたすベイトマンだったが、警官との攻防で勝ってしまい、理性がちぎれる。自分の弁護士に殺人の告白までしたベイトマンだったが、弁護士はそれを信じず、彼は自由の身になる。

レビュー

 ブレッド・イーストン・エリスの衝撃的小説をメアリー・ハロンが映画化したこの作品が、「アメリカン・サイコ」です。映画の製作費は結構少なくなっており、スマッシュヒットを放った本作は興行収入的には成功を収め、映画批評家からは水準並みの評価を受けるも、観客からは高い評価を受けている作品であります。

 この「アメリカン・サイコ」は、人が羨むような生活を送っている若い男性の心の内には闇が広がっており、しばしば人殺しをなんの躊躇いも後悔もなく行っている様が、衝撃的であると言えます。普通、殺人を行う際には躊躇や行った後の後悔などに心が押しつぶされ、主人公は自滅していくのが常套的ストーリーになるはずですが、この「アメリカン・サイコ」の主人公パトリック・ベイトマンは、殺人を躊躇いもなく実行し、それでいて自滅すらしないという理解ができない展開が繰り広げられています。

 主人公であるパトリック・ベイトマンは27歳にして一流企業の副社長にまで上り詰め、高級マンションに住み、フィットネスを欠かさず行い、婚約者までいるという人が羨む人生を送っていますが、会社の同僚と名刺の出来で競っていたり、それが元で殺人まで平気で行ってしまうところが、普通の人生を送っている観客には同情できないところです。つまり、ベイトマンに感情移入できないような出来事が次々に起こるのですが、それを見せられても観客は唖然とするばかりという状況になります。

 ベイトマンには独特の感性を持っているらしく、殺害をする前にはターゲットに対して自分の音楽の趣味を語っているところが、ユニークであると思います。ミュージシャンに対する独特の批評は、ベイトマンがヤング・エグゼクティブであるということを重みづけている要素になっていて、印象的であります。そのセリフの後に次々に人殺しをしてしまうのですから、ベイトマンの心はどうなっているのか、疑問すら湧いてきます。

 映画の中では、ヤング・エグゼクティブたちの会話や行動が事細かく描かれていますが、中流階級に位置する僕としては、些細なところにこだわるのだな、と思わずにはいられないぐらいに、会話や行動が空虚であると思います。そこまで行き着いてしまったベイトマンからすれば、自分より下の階級にいる人を殺すことなど、なんとも思ってもいないのでしょう。

 映画の途中で会社の同僚の行方不明を調査しに探偵が現れますが、この探偵がベイトマンの餌食になるのかなと思っていたら、実際には全く接点もなく、探偵の調査も中途半端という肩透かしを喰らってしまい、物語の定番を崩しにかかっているのが、面白い展開かなと思います。逆にベイトマンが警官と銃撃戦を繰り広げ、警官に勝ってしまう場面などは、それでいいのかという思いすら感じます。

 映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターデータが4Kなので、ネイティブ4Kでの収録になり、高精細の映像が堪能できます。HDR10も収録されているので、明るいシーンから暗いシーンまでのコントラストがはっきりしていて、魅力的な映像を提供しています。色ノリも抜群で、カラフルな映像が楽しめます。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chでの収録になりますが、サウンドトラックが綺麗に広がり、また音の移動感もかなりあるため、面白いサラウンドサウンドを提供していると思います。

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