レッド・ノーティス(DOLBY VISION/Netflix)

あらすじ

　クレオパトラの秘宝の中には、黄金でできた卵が三つあった。しかし、そのうちの一つは行方不明のままだった。残り二つは発掘され、一つは博物館に、一つは大富豪の元に置かれることになった。ある大富豪の娘、クレオパトラの結婚式のお祝いに、クレオパトラの三つの卵をプレゼントするという話があり、宝石専門泥棒のノーラン・ブースは一つ目の卵を盗み出すべく、博物館に潜入していた。それを察知したインターポールのダスとFBIのジョン・ハートリーは博物館にたどり着くが、既に一つ目の卵はノーランの手にあった。しかし、ジョンの追跡の結果、卵は取り戻すが、別の人間が卵を横取りする。二つ目の卵は大富豪の元にあったが、それをとりにノーランは計画を立てる。そして、ジョンも成り行きでノーランとコンビを組んで二つ目の卵を盗み出すべく動き出す。その二つ目の卵も最終的にはザ・ビショップに横取りされる。残った一つの卵は行方不明だったが、実はノーランがありかのヒントを掴んでいた。かくしてノーランとジョンはいがみ合いながら三つ目の卵を探索し、手に入れようとする。

レビュー

　Netflixオリジナル作品で、ドウェイン・ジョンソン、ライアン・レイノルズ、ガル・ガドットを主演に備えたアクション・コメディ映画が、この「レッド・ノーティス」です。Netflixオリジナル映画としてはヒットを記録し、「バード・ボックス」に次ぐ再生回数、再生時間を記録しています。Rotten Tomatoesによる批評家評価は36％と低迷していますが、観客評価は92％と好意的に捉えられています。

　この映画の特徴は何かというと、アクションスターであるドウェイン・ジョンソンとコメディものには欠かせないライアン・レイノルズがコンビを組んで、クレオパトラの秘宝を探して手元に置こうとするところにあると言えます。その予想外のコンビには、二人の立ち位置の違いがあり、笑いを発生させるコンビになっていると思います。物語上でもジョンソンがFBI捜査官、レイノルズが宝石泥棒と、正反対の職業についていて、その正反対の二人がコンビを組むというバディ物になっているところが、ユニークであると言えます。

　その二人を出し抜いていくのが、ザ・ビショップという女性で、彼女もクレオパトラの卵を追い求めて二人のコンビの後をつけていくという立場で登場し、二人のコンビが苦労して入手した卵を横取りするという美味しい立場にいます。この三人のトリオの漫才がこの映画の特徴になっていて、クライマックスで明らかになるある秘密と共に、主役である理由が明らかになっていくところが、面白いと思います。

　クレオパトラの黄金の卵を追い求めて、世界を転々とする三人ですが、罠に嵌められてジョンとノーランがロシアの刑務所に入れられたり、ジョンとノーランが計画した大富豪からのクレオパトラの第二の黄金の卵奪還のシーンとか、テンションの上がる場面は色々あります。アクションシーンも結構盛りだくさんにあり、派手な演出がなされています。特にロシアの刑務所からの脱出シーンやクライマックスの第三の卵奪還シーンなどのアクションは見ていてハラハラさせられるところがあります。

　ただ、主役であるジョンやノーランの幼少時代の設定は、あまり物語に重要性を与えない感触は受けます。幼少時代に受けた傷が現在の彼らを作っているのですが、それがインパクトを与えるかというと、そうなっていないところは、もったいない設定かなと思います。第三の卵の秘密のありかがナチス・ドイツに関わってというのも、意外と唐突感を感じるところであります。

　映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターデータが4Kで保存されているため、映像はネイティヴ4Kでの収録になっています。そのため、映像は高精細さを誇ります。また、DOLBY VISIONによる色管理は、自然な環境を提供していて、明暗の差が大きく、魅力的に感じます。音響はDOLBY ATMOSで収録されていて、音が前後左右上下に移動する様が効果的に発揮されています。特にロシアの刑務所の外観をとっているシーンでの吹雪のシーンは、三次元サラウンドの効果が抜群であります。