AMERICAN SNIPER(Blu-ray)/アメリカン・スナイパー/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

AMERICAN SNIPER(Blu-ray)

AMERICAN SNIPER Blu-rayジャケット 邦題 アメリカン・スナイパー
レーベル WARNER HOME VIDEO
制作年度 2014年
上演時間 132分
監督 クリント・イーストウッド
出演 ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、ルーク・グライムス
画面 2.40:1/アナモルフィック
音声 DOLBY ATMOS 英語、フランス語
DOLBY DIGITAL 5.1ch スペイン語
字幕 英語、フランス語、スペイン語

あらすじ

 クリス・カイルは幼い頃からライフルに親しんでいた。彼は愛国者として育ったが、テレビで中東でのテロリストの犠牲者が出たことに憤慨し、アメリカ軍のシールズに入隊する。シールズの訓練中、タヤという女性と知り合い、二人は恋に落ちる。そして、二人は結婚をするが、2001年のアメリカ同時多発テロを受けて、クリスはイラクに派遣される。彼の任務は、スナイパーとしてアメリカ軍の防御をすることだった。しかし、そのためにはイラクの女子供をも射殺することになり、次第にクリスの精神は犯されていく。タヤとクリスの間には二人の子供をもうけるが、クリスは戦場の生死に気を取られ、家庭人の父親としての立場を失っていく。

レビュー

 アメリカ軍のシールズの伝説の狙撃手、クリス・カイルの自叙伝「ネイビー・シルーズ 最強の狙撃手」を原作にして、ハリウッドで良質の映画を製作することで知られるクリント・イーストウッドが映画化した作品が、この「アメリカン・スナイパー」です。2014年のアカデミー賞で音響編集賞を受賞し、映画としての興行収入も制作費を大きく上回り、成功作としています。

 物語は、実在の人物クリス・カイルのイラク戦争での狙撃手としての活躍と、家庭人としての立ち位置を交互に描いていきますが、クリスを演じるブラッドリー・クーパーがあまり感情を表に出さない演技をしているため、狙撃手としてのクリスの活躍はリアリズムがあるものの、家庭人としての父親の役割の描き方が少し弱いかな、と感じる場面が多々ありました。

 イラク戦争のシーンは、リアリズムに徹した感じがあり、物語の緊迫感に一定の圧力を感じる部分はあります。どこから襲ってくるかわからないイラクのテロリストたちと対峙し、彼らの攻撃を事前に防ぐという狙撃手としての役割を与えられたクリスは、沈着冷静な面を持たなければならないという立場にあり、絶えず緊張感を受けながらも、テロリストたちを狙撃して倒していきます。そのためには、女子供であってもためらいなく狙撃するシーンは、衝撃を受けます。

 その一方で家庭を築くクリスですが、戦争の後遺症を受けてしまっているのか、家庭人としてはどこか失格な要素もあり、妻であるタヤや子供達に対してもどこか距離を置いてしまう一面を持ちます。それがクリスにとっての悲劇であると言えますし、彼が戦場に心を奪われている証拠にもなっています。クリスは戦場とともにあり、アメリカでの家族との生活は偽りの世界にあると言っても過言ではないでしょう。

 物語は、最初3週間だけだった任務のはずが、何回もイラクに赴くことになるクリスを中心に、アメリカ軍の死闘を描いたものになりますが、イラクのテロリストたちの攻撃がかなり圧倒的で、次第にアメリカ軍が追い詰められてきて、クリスの戦友たちも徐々に負傷、戦死するという展開になり、クリスの心境に変化が訪れるという悲劇が中心になります。特に後半になるにつれ、その戦闘の激しさが増してきて、クリスたちの生死があやふやになるところが、映画の描き方の秀逸なところかなと思います。

 画質は解像度は十分ですが、イラクを中心にした場面では少し緑がかったトーンの渋目の色彩表現をしていて、戦場の緊迫感を伝えるものになっています。その代わり、アメリカ国内のシーンではカラフルな色彩をしていて、その映像の対比が映画のストーリーを物語っていると思います。音響はアカデミー賞を受賞しただけあって、DOLBY ATMOSのサウンドトラックは相当の臨場感を伝えるものになっています。全般的にイラクでの戦闘シーンが多いのですが、ライフルの銃撃シーンや、爆発音、飛行機の飛行シーンなどで音に包み込まれるデザインをしており、イマーシヴ・オーディオの効果としてはデモンストレーションに値する音響効果になっています。

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