AMERICAN ULTRA(Blu-ray)/エージェント・ウルトラ/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

AMERICAN ULTRA(Blu-ray)

AMERICAN ULTRA Blu-rayジャケット 邦題 エージェント・ウルトラ
レーベル LIONS GATE HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2015年
上演時間 96分
監督 ニマ・ヌリザデ
出演 ジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート、トファー・グレイス
画面 1.85:1/アナモルフィック
音声 dts:X 英語
dts-HD MA 5.1ch スペイン語
字幕 英語、スペイン語

あらすじ

 田舎のコンビニの店員をしているマイクは、彼女であるフィービーと仲良く生活していた。二人はハワイに旅行に行こうとするが、マイクのパニック発作のために、旅行を断念していた。その埋め合わせではないが、マイクはフィービーに結婚指輪を用意していた。そのマイクは、実はCIAの暗殺者として訓練を受けていたが、その記憶を封印されていて、自身のスキルを知らないままだった。CIAは彼を抹殺するために暗殺者を送り込むが、マイクの能力が目覚め、返り討ちにしてしまう。CIAのイェーツは、次々に暗殺者を送り込むが、マイクは彼らと対等に戦い始め、フィービーを守るため、逆に暗殺者を始末していく。

レビュー

 まだ若いのに味のある演技をするジェシー・アイゼンバーグと、「トワイライト」シリーズで人気になったクリステン・スチュワートを主演に備え、CIAによって隠された暗殺者としての能力を持った若者が、あるきっかけを元にその能力を発揮させ、CIAの暗殺者を返り討ちにしていくアクション・コメディ映画が、この「エージェント・ウルトラ」です。残念ながら、映画の評価はあまり高くなく、興行収入も制作費を回収できない残念な結果になっています。

 ダメな若者が実はスーパー能力を持った暗殺者であったという設定は、結構面白い要素になっているかと思いますが、見ていて今ひとつ盛り上がりに欠けるところがあり、上映時間が短いのに、少々退屈する映画に仕上がっているところが、残念なところであります。主人公マイクが序盤で自分の能力に目覚めるところは期待を呼ぶ展開だったと思いますが、見ているうちに、その期待が失望に変わっていくところは、この映画の出来の悪さを見せつけていると思います。

 映画がダメなところは、物語が田舎の中で完結してしまうところにも影響があると言ってもいいかと思います。物語が田舎で展開することで、ストーリーの緊迫感が薄くなってしまっていると思います。また、登場人物がマイクと恋人のフィービー、CIAエージェント何人かというところが、物語をこじんまりさせている要因になっているかと思います。CIAもマイクを抹殺しようとするイェーツと、マイクを助けようとするラセターの駆け引きがありますが、その主導権争いが中途半端な描き方になっているのが、物語のつまらなさを表してしまっていると思います。

 マイクの恋人、フィービーも実の姿を隠してマイクを助ける行動をしていますが、その辺の微妙な描き方も物足りないと言えます。彼女の真実も途中から明らかにされますが、と言って彼女が活躍するわけでもなく、CIAに監禁されているのが後半の実態であり、マイクを危機に陥れる役割しか果たしていないのが、キャラとして立っていないところがあります。

 アクションシーンも、興奮を呼ぶところまで行かず、マイクの能力が「すごい」と思わせるだけの描写が薄いのではないかと思います。そのため、CIAがマイクを抹殺するべく動き出すという設定も、違和感を感じるところがあります。CIAの暗殺者育成プログラムがCIA自身のリスクになっている設定ですが、そこまでの怖さを描いているとは言えず、無理をしている感じがします。総じて、期待はずれの作品であると言わざるを得ません。

 映像は最近の映画にしては珍しく、ビスタサイズでの収録になっています。解像度や色彩の再現度は文句なく、美しいものを感じます。夜のシーンや屋内シーンが多いですが、きちんと描写されているところがあり、映像的には魅力あると言えます。音響はdts:Xのイマーシヴオーディオです。マイクが戦うシーンでは、かなり効果的なサラウンドを描き出していて、音に包み込まれる感じを受けますが、逆にセリフでセンタースピーカーだけ鳴っているシーンも多々あり、その辺のギャップがサウンドデザインの物足りなさを感じるところであります。

コメント

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