my sister’s keeper/私の中のあなた/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

my sister’s keeper

my sister's keeper DVDジャケット 邦題 私の中のあなた
レーベル NEW LINE HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2009年
上演時間 109分
監督 ニック・カサヴェテス
出演 キャメロン・ディアス、アビゲイル・ブレスリン
アレック・ボールドウィン
画面 2.35:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、スペイン語
字幕 英語、スペイン語

あらすじ

 フィッツジェラルド家は一見平和な家庭だった。姉のケイトが病気にかかるまでは。彼女はがんの一種に侵され、ドナーの提供が望まれていた。そこで母のサラが選んだのは彼女のドナーに適合する子供を一人作ること。そして生まれたのがアナだった。アナは5歳の頃から姉のケイトのドナーとして何度も手術を受けてきた。しかし11歳の時、アナは驚異的な勝訴率で誇る弁護士キャンベルのもとに赴き、姉のドナーになることを拒否する裁判を起こす。これにより、家庭が崩壊しかかるが、この裁判には理由があった。

レビュー

 「ジョンQ」などでドラマ作りに定評のある監督ニック・カサヴェテスが原作付きの映画化に挑んだのが、この「私の中のあなた」です。興行収入的にそこそこ達成していたかと思いますし、何より作品の持つ眼差しが柔らかいのが特徴の映画かと思います。

 作品の宣伝としては、11歳のアナが両親に姉のドナーにならないという裁判を起こすという物議を醸し出しそうな点をプッシュしていましたが、作品の内容としては、どちらかと言うと家族それぞれの立ち位置を優しく描いたものになっています。

 特に重点が当てられているのが、がんの一種に侵されていて余命幾ばくもない姉のケイトで、彼女が病気を発病してから病院内での苦闘、テイラーというやはりがんに侵されている若者との初恋、病院から外出をした時の喜びよう、そういったものが克明に描かれています。

 また、もう一人重点が当てられているのは母親のサラです。彼女は娘の一人を救うためにはもう一人の人格などお構いなしといった風情で、ケイトをとにかく助けたいと視野が狭くなっている女性を体現しています。だからこそもう一人の娘であるアナが裁判を起こした時、逆上をしてしまうという行動に出てしまうわけであります。

 家族の中では父親であるブライアンと、兄であるジェシーもそれぞれ立場を持っていますが、彼らはどちらかと言うと崩壊しそうになる家庭をどうにか保とうとする立場に位置しています。作品中では女性の立場の強い映画かと思いますが、こうした男性陣の位置関係も結構重要で、彼らがケイトやアナに協力したり、母であるサラに意見したりという行動に出るわけです。

 物語の最初と後半は裁判のシーンになり、何故アナが両親を訴えたかが次第に明らかになっていくのですが、ここで熱演しているのがアレック・ボールドウィン扮する弁護士キャンベルで、アナの窮状を救う役割を果たしています。それと共に母であるサラのケイトを救いたいばかりにアナを軽視してしまう状況も明らかになります。

 物語としては、最初にアナの書状があって、それから後半の裁判に行くまではフィッツジェラルド家の家庭環境を克明に描いているために、裁判のシーンが多少浮いている感じをも受けますが、その分、アナの告白が強力になり、ラストが余韻の残るいい展開になっているかと思います。ともすれば暗い話になりがちですが、さわやかな余韻の残る映画に仕上がっているかと思います。

 映像は画質的には結構粗い感じがします。DVDだからというわけでもないのでしようが、荒れている感じを受けます。それがアナログ感覚を呼び起こしていて、何処か懐かしい雰囲気を醸し出しています。また、色合いが暖色系に寄っているために、それも家族愛というものが表しているようにも感じます。解像度もDVDのアップスケーリングにしては厳しい物がありますが、これが映画の暗さを打ち消す意味合いを持っているかと思います。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chで鑑賞しましたが、ドラマ系ということもあり、さほど派手なサラウンド使いというわけではありません。しかし、スコアが静かに広がり、いい感じに空間を作り出しているかと思います。

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