WATCHMEN THE ULTIMATE CUT/ウォッチメン/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

WATCHMEN THE ULTIMATE CUT

No Image 邦題 ウォッチメン
レーベル WARNER HOME VIDEO
制作年度 2009年
上演時間 215分
監督 ザック・スナイダー
出演 マリン・アッカーマン、ビリー・クラダップ、マシュー・グード
画面 2.35:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
字幕 英語、フランス語、スペイン語

あらすじ

1985年のアメリカとソ連は核の脅威にさらされていた。その中アメリカの正義を守ってきたウォッチメンの一人、コメディアンが何者かに殺害される。ロールシャッハは密かに調査を開始し、謎に迫ろうとするが、既にウォッチメンの面々は正義の活動を止め、平穏な生活を送っていた。次第に活動をやめていたウォッチメンの面々もその調査の中に巻き込まれていくのだったが、真の犯人は意外なところにいた。

レビュー

原作物を多く手がけるザック・スナイダーが「300」に続いてグラフィック・ノベルの原作物を出かけたのがこの「ウォッチメン」です。本国アメリカではヒットしましたが、日本では馴染みがないせいかあまりヒットせず、今回鑑賞した「THE ULTIMATE CUT」も日本ではリリースされず、その前のバージョンである「ディレクターズ・カット」すらリリースされないという不遇を囲っている作品です。

今回鑑賞したのはその「THE ULTIMATE CUT」で、「ディレクターズ・カット」に加えて物語で街の少年が読んでいるコミック「Tales of the Black Freighter」を実際のアニメにして物語の中に組み込むという大胆な構図を取っています。そのせいで上映時間215分とものすごく長くなり、少々忍耐力を要求される作品に仕上がっています。ちなみにその「Tales of the Black Freighter」と「ウォッチメン」本作とは作品の内容に関係はなく、なぜこのような構図になっているのかちょっと理解不能です。

物語はアメコミのヒーロー物として最近目立ってきている「正義のヒーローとは何か?」というテーマに大胆に迫っている作品ですが、そのテーマのためかヒーローが戦うシーンがかなり少なく、会話のシーンで済ませているところが多くて暗い雰囲気を漂わせています。特に最初のシーンでウォッチメンの一人だったコメディアンが殺されるシーン以降、ロールシャッハが調査をするという展開で物語が進んでいきますので、ドラマ的展開にならざるを得ず、爽快感はなかなか得づらいものがあります。

また、物語が1985年にニクソン大統領がまだ健在だったという架空の世界での展開のため、違和感を感じるところもあります。ニクソン大統領下のアメリカでは、ウォッチメンが政府の手先となっている面も否めなく、実際は正義のヒーローと言うよりは政府の手先であり、市民からも悪感情を抱かされているところがこれまでのヒーロー物とは違う展開かと思います。そういう設定が「ヒーローとは何か?」という問に一つの回答を与えているかのような気がします。

ウォッチメンの一人ドクター・マンハッタンは実験の結果超人的な生命体に生まれ変わってしまった男ですが、彼が最後に行う行為はアメリカとソ連の関係を変えていく立場として大きな意味合いを持っています。彼は同じくウォッチメンの一人ローリーに気があるようですが、ローリー自身はその関係を嫌って、別のウォッチメン・ダンと恋仲になっていきます。この辺のキャラクター間の関係のニュアンスの違いが物語を構築していると思います。

ローリーの母はかつてウォッチメンの一人で、コメディアンとただならぬ関係にある人物ですが、コメディアンというかなり粗暴なキャラクターが正義のヒーローとして活躍しているのは何かの間違いだろうと思わせるところがあります。彼は正義のヒーローに値しない人物というのが映画から取れるキャラクター設定であり、殺されるのも仕方ないかなと思ったりもします。彼が胸につけていたニコチャンマークのバッジが作品のトーンを決めています。

物語を進めていく立場にあるロールシャッハですが、彼は顔にロールシャッハの模様が出るマスクをしているために奇妙な感じがしますが、途中で素顔を表すと、実は別のシーンで登場していることが分かり、ちょっと驚くところがあります。彼の位置づけは結構重要で、他のウォッチメンにも影響を与えていきます。

映像は雨が降るシーンが多く、どちらかと言うと若干モノトーンの感じを醸し出しています。色乗りが悪いわけではないですが、シックな感じのする映像で作品のトーンを決めている感じはあります。音響は5.1chステレオですが、かなりサウンドトラックを全チャンネルに振っていて、臨場感が感じられます。また、歌物のサウンドトラックも多いですが、これらも5.1chで広がり感を感じるところがあります。結構知った古い曲が多いので、面白い選曲だなと感じるところです。

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