ゴッドファーザー<最終章>:マイケル・コルレオーネの最期-マリオ・プーゾ原作(4K UHD/iTunes Movies)/Apple TVで観た映画のレビュー

ゴッドファーザー<最終章>:マイケル・コルレオーネの最期-マリオ・プーゾ原作(4K UHD/iTunes Movies)

No Image 原題 MARIO PUZO’S THE GODFATHER,CODA:THE DEATH OF MICHAEL CORLEONE
レーベル PARAMOUNT PICTURES HOME ENTERTAINMENT
制作年度 1990年/2020年
上映時間 158分
監督 フランシス・フォード・コッポラ
出演 アル・パチーノ、ダイアン・キートン、アンディ・ガルシア
画面 1.85:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語、日本語
字幕 日本語

あらすじ

 マイケル・コルレオーネは年老いてきていた。彼は、故郷に多額の寄付を募ることで、バチカンから叙勲を受け、ヨーロッパの企業を買収する機会に恵まれる。マイケルは、これを機にコルレオーネ・ファミリーを非合法のマフィアから、合法的企業へと転換を図る。しかし、マイケルの兄であったソニーの息子、ヴィンセントはマフィアの道を歩ませる爆弾になりかけていた。ニューヨークのシマを預からせていたジョーイは、コルレオーネ・ファミリーが合法的企業に転換するのに反対で、配下のヴィンセントを鉄砲玉のように扱っていた。マイケルは自分でヴィンセントを預かり、彼を指導する。また、マイケルは別れた妻と子供たちと再会する。マイケルは息子であるアンソニーにコルレオーネ・ファミリーを継いでもらいたがったが、アンソニーは子供の頃親切にしてくれた叔父のフレドが父によって抹殺されたことで、ファミリーを嫌悪していて、オペラ歌手になろうとしていた。マイケルは娘であるメアリーにファミリーを継がせようとするが、メアリーとヴィンセントは従兄弟同士でありながら、恋に落ちる。マイケルがヨーロッパの企業買収に乗り出したのを気に入らないマフィアとバチカンは、手を組んでマイケルの抹殺に乗り出すことになる。それに対して、マイケルは糖尿病に苦しみ気弱になっており、バチカンの大司祭に懺悔をする。そして、ドン・コルレオーネの座をヴィンセントに譲る。息子であるアンソニーのオペラ歌手のデビュー公演に参列したマイケルと元妻のケイ、メアリー、ヴィンセントは、マイケルの命を狙う殺し屋たちの標的になる。

レビュー

 フランシス・フォード・コッポラの代表作である「ゴッド・ファーザー」シリーズの第3作目で、最終章になるのが、この「ゴッドファーザー<最終章>:マイケル・コルレオーネの最期-マリオ・プーゾ原作」です。元々は1990年に制作された「ゴッドファーザー PART III」が最終作になるのですが、パラマウント・ピクチャーズの同意のもと、「ゴッドファーザー PART III」を再編集し、オープニングとエンディングが差し替えられ、新たに映画のタイトルも変更になったのが、この「ゴッドファーザー<最終章>:マイケル・コルレオーネの最期-マリオ・プーゾ原作」です。「ゴッドファーザー PART III」が前2作と違ってヒットは記録したものの評価が思ったほど得られなかったために、再編集を行ったものと思われます。この再編集版の評価は前2作ほど高くはありませんが、Rotten Tomatoesでの批評家評価は86%、観客評価は75%と、それなりの数値を獲得しています。

 前2作とこの作品の大きな違いといえば、マイケル・コルレオーネが冷徹非情な性格から年老いて気弱になり、過去の行いについて後悔の念を抱くという部分が、強調されているところにあると思います。そのため、前2作と比較すると、ストーリーの描き方にかなりの違いを感じるところがあります。マイケルは、自身の持つマフィア・ファミリーであるコルレオーネ・ファミリーを非合法の犯罪組織から、合法的企業に転換させようとしますが、それもマイケルの性格の変遷によるものによるところが大きいといえます。

 また、マイケルが糖尿病を抱えており、その為にショック状態になるというシーンもいくつか描かれています。別れた妻と子供とも再会しますが、息子であるアンソニーは子供の頃に優しい叔父であったフレドが父によって抹殺されたことでファミリーを嫌っていて、オペラ歌手になるという人生を歩んでいきます。娘であるメアリーはマイケルの後継者になりかけますが、マイケルの兄であったソニーの息子であるヴィンセントと恋に落ちたことで、従兄弟同士の恋に発展し、マイケルから反対されます。ヴィンセントは血気盛んな若者で、コルレオーネ・ファミリーが合法的企業になる際に爆弾になりかねない存在であります。コルレオーネ・ファミリーがまた非合法のファミリーに逆戻りになるきっかけを作りかねない存在として描かれています。

 マイケルがコルレオーネ・ファミリーを合法的企業に転換させようとする中で、バチカンから叙勲を受け、ヨーロッパの企業を買収しようとしますが、それを気に入らない他のマフィアたちは、バチカンの大司祭と手を組んで、マイケルを亡き者にしようと活動を活発化させます。物語は、コルレオーネ・ファミリーを合法化企業にさせようとするマイケルと、それを阻止するマフィアの戦いをスリリングに描いていきます。

 それと同時にこの映画は、マイケルの個人的家族の関係を詳細に描いたパーソナルな映画としても語られると思います。「ゴッドファーザー PART II」で関係が悪化した元妻のケイとは、関係を改善しますし、息子であるアンソニーのオペラ歌手になるという夢は、マイケルも認めることになります。娘のメアリーの存在はマイケルにとって大切な存在ではありますが、そのためにヴィンセントとの従兄弟同士の恋を終了させなくてはいけません。そのためもあって、その他の事柄と相まって、ドン・コルレオーネの座をヴィンセントにマイケルは譲るという決断をします。

 クライマックスは、アンソニーがオペラ歌手としてデビューする公演をマイケル、ケイ、メアリー、ヴィンセントが観賞し、マイケルの抹殺を目論むマフィアたちの手筈と交互に描くことで、物語を盛り上げています。ヴィンセントはマイケルの生命を守るために手下たちを配置しているのですが、その手下たちも殺し屋によって殺害され、マイケルの生命もこれまでか、と思われた矢先、意外な展開で物語は終局を迎えます。タイトルでは「マイケル・コルレオーネの最期」と銘打っていますが、完成した映画の中でマイケルが死ぬシーンはありません。ただ、意外なラストでマイケルの失意は相当大きなものになっていて、事実上マイケルはもうダメだろうなと思わせるところはあります。

 映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。撮影素材は35mmフィルムで収録されていますので、4Kスキャンでネイティヴ4Kの収録になっています。1972年および1974年の前2作に比べると、最近の映画になっている関係か、映像の精彩感はかなり高いものになっています。フィルムグレインもほとんど感じさせず、色乗りも十分にあり、黒つぶれもあまり感じさせないところなどは、現代的映像という印象を与えます。音響はDOLBY DIGITAL 5.1chで収録されていますが、そのサラウンド感は十分に発揮されていると言ってもいいでしょう。EXOFIELD THEATERではdts Neural:Xで再生されますが、擬似イマーシヴ・サラウンド効果が現れていて、音が四方八方に広がる印象を受けます。

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