ナイトメア・アリー(4K UHD/Disney+)/Apple TVで観た映画のレビュー

ナイトメア・アリー(4K UHD/Disney+)

No Image 原題 NIGHTMARE ALLEY
レーベル SEARCHLIGHT PICTURES
制作年度 2021年
上映時間 151分
監督 ギレルモ・デル・トロ
出演 ブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、トニ・コレット
画面 1.85:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY ATMOS 英語
字幕 日本語

あらすじ

 スタンは遺体と家を燃やし、バスに乗り、終点まで行った。スタンはバスの終点で、見世物小屋のカーニバルが開催されているのに気づく。そこで、スタンは数々の見せ物を見て、次第に見世物小屋のメンバーの一人となって、ジーナとピートのコンビで行なっている読心術を習得し始める。また、見世物小屋にはモリーという若い女性もいて、彼女は電気を操る見せ物を行なっていた。次第にスタンはモリーと親しくなる。スタンは読心術を習得し、技術が向上していくが、ピートに渡したアルコールがとうもろこしで作った酒ではなく、メチルアルコールだったため、ピートは命を落としてしまう。スタンはモリーを誘い、見世物小屋を脱出し、2年後には裕福層中心に読心術を見せて金を稼ぐ手段を得る。そんなある日、判事を読心術で秘密を読み取り、彼に告げると、判事は動揺する。それを見ていた精神科医のリリスはスタンの秘密を知り、共同で作業するようになる。スタンは判事の知り合いであるエズラという精神的に不安定な男に近づき、金をむしり取ろうと考えるが、リリスはそれには反対していた。しかし、スタンはモリーを巻き込んでエズラにのめり込んでいく。

レビュー

 個性的な映画を撮り続けるギレルモ・デル・トロが、監督、制作、脚本を担当し、ウィリアム・リンゼイ・グレシャムの原作小説「ナイトメア・アリー 悪夢小路」を映画化したのが、この「ナイトメア・アリー」です。2021年のアカデミー賞に4部門ノミネートされた作品ではありますが、興行収入は製作費を大きく下回り、失敗作とみなされています。ただ、評価は比較的高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は80%、観客評価は68%を獲得しています。

 映画は、全般的に見世物小屋で見せられる読心術を用いて、人を騙していくスタンという男の人生の末路を描いたものになっています。映画冒頭でスタンは何者かの遺体と家を燃やしてそこを離れていき、バスの終点まで行って見世物小屋のカーニバルに出会い、そこで働くことになります。冒頭からスタンの過去が謎のまま、スタンの現在を描いていくことになりますが、見世物小屋で読心術を用いて観客の名前や持ち物、過去などを次々と言い当てるジーナとピートのコンビと出会い、スタン自身も読心術を学んでいくことになります。

 この見世物小屋のパートは意外と淡々としていて、スタンの過去も明かされないまま、読心術を習得していくスタンの姿をじっくり描いていきます。このパートは意外と退屈なのですが、クライマックスとラストできちんと伏線を回収しているので、それを知った時には納得する描写になっています。その一方で、スタンは電気を操るモリーという若い女性と知り合い、彼女と親しくなっていきます。モリーも後半のスタンの読心術で稼ぐための見世物小屋からの独立に深く関与しますので、結構重要なキャラです。

 読心術で見せ物を興行していたジーナとピートですが、スタンがピートにとうもろこしで作った酒ではなく、間違ってメチルアルコールを渡してしまったために、ピートはこの世を去ってしまいます。それを受けて、スタンは見世物小屋からの独立を決意し、モリーと共に見世物小屋を去ります。2年後にはスタンとモリーは裕福層相手に読心術を使って彼らの抱えている秘密や悩みを暴き、金を稼ぐことになりますが、ある時、判事の過去を暴いたことで精神科医のリリスと出会うことになります。

 リリスはスタンの秘密を暴き、彼と共に行動を共にすることになりますが、スタンが判事の知人であるエズラという精神的に不安定な男に読心術をかけ、大金をせしめようと企んだことから、意外な展開がクライマックスで訪れることになります。この辺のクライマックスの展開の意外性は驚くところであり、スタンとモリーの関係、スタンとリリスの関係、スタンが仕掛けたエズラに対する企ての結末、スタンの過去と全てが終わった後のスタンの末路など、前半がスローテンポだったのに対して、クライマックスからラストは急展開していきます。

 特にスタンが陥ったラストの展開は、前半の見世物小屋のカーニバルの描写が重要なヒントになっており、この結末にするために前半スローテンポで見世物小屋の様子を描いていたのか、と納得する展開になっています。スタンは人生を成功させるために動いていたところが、結局はそれが叶わぬものになるという展開に、鋭いオチだなと実感するところであります。

 映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターデータは4Kで作られていますので、ネイティヴ4Kでの収録になります。最近の映画にしては珍しくビスタサイズでの収録になっています。ビスタサイズでの収録のため、4Kならではの高精細な映像がテレビの画面一杯に広がり、映像に迫力があります。色彩がDOLBY VISIONでの収録のため、見世物小屋の妖しい光が画面上に輝いて見えます。色彩は暖色系の色合いをしていますが、それが物語の雰囲気に合っています。音響はDOLBY ATMOSでミックスされています。雨のシーンや雷が鳴るシーン、風が強く吹くシーンなど環境音が結構多いのですが、その環境音が頭上を含めた三次元サラウンドで構築され、物語に没入する効果を発揮しています。

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