『天国の日々』4K UHD Blu-ray(輸入盤)レビュー|夕暮れの光に刻まれる人間の営み【Dolby Vision / dts-HD MA 5.1ch】
テレンス・マリックが1978年に監督した詩的映像美の傑作。広大なテキサスの農場を舞台に、逃亡者の男と彼を取り巻く人々の運命を、夕暮れの光とともに描き出す。1978年のアカデミー賞で撮影賞を受賞し、Rotten Tomatoesでは批評家スコア94%、観客スコア89%と高い評価を得ている。4K UHDはDolby Visionの恩恵を存分に受け、映画史に残る映像美を極限まで再現している。
『天国の日々』4K UHD Blu-ray 基本仕様
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邦題 | 天国の日々 |
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原題 | Days of Heaven | |
レーベル | Criterion Collection | |
制作年度 | 1978年(劇場公開版) | |
上映時間 | 94分(劇場公開版) | |
監督 | テレンス・マリック | |
出演 | リチャード・ギア、ブルック・アダムス、サム・シェパード | |
画面 | 1.85:1 / 4K / Dolby Vision | |
音声 | dts-HD MA 5.1ch 英語 | |
字幕 | 英語 | |
リージョン | UHD=リージョンフリー, Blu-ray=リージョンA | |
パッケージ | UHD 1枚(本編)+ BD 1枚(特典映像) |
あらすじ(短縮版)
鉄工所で殺人を犯したビルは、恋人アビーと妹リンダと共にシカゴを逃亡。テキサスの大農場で新たな生活を始めるが、アビーをめぐる人間関係と、大自然の猛威が彼らを翻弄する。
あらすじ(詳細)
1910年代半ばのシカゴ。鉄工所で監督を殺めてしまったビル(リチャード・ギア)は、恋人アビー(ブルック・アダムス)、妹リンダと共に逃亡し、テキサスの広大な農場に辿り着く。そこは収穫期を迎え、各地から労働者が集まる場所だった。
アビーは農場主の青年から求愛を受け、やがて結婚。しかしビルとの関係は断ち切れず、三角関係が緊張を生む。季節が巡り、再び収穫期を迎えた農場には害虫が大量発生。駆除の火が広がり、一帯は炎に包まれる。混乱の中、ビルと農場主の間に悲劇的な事件が起こる。
見どころとテーマ
- 映像詩としての映画: 夕暮れの“マジックアワー”を多用し、光と影で人間の営みを描く。
- 哲学的視点: 自然の壮大さの中に置かれた人間の儚さを、突き放した視点で描写。
- ナレーションの役割: 妹リンダの無垢な声が物語を俯瞰し、独特の距離感を生む。
- 三角関係の緊張: 恋愛のもつれを激情的に描かず、自然の営みの一部として位置づける。
- 大自然の猛威: 害虫と火災のシーンが、人間の営みの無力さを強調。
映像レビュー【4K / Dolby Vision】
35mmフィルムをネイティブ4Kでテレシネ化。マリックや撮影監督陣の監修による映像は極めてクリアで、夕暮れの光の変化や農地の質感を緻密に再現。Dolby Visionは日没のわずかな輝きや炎の赤、空の陰影に強い効果を発揮し、映像詩としての美しさを最大限に引き出している。フィルムグレインは抑えられ、透明感のある仕上がり。
映像スコア:95点
音響レビュー【dts-HD MA 5.1ch】
オリジナルのDolby Stereoを5.1chにリミックス。基本は前方定位ながら、環境音や音楽が後方にも広がり、没入感を強化。虫のざわめきや炎の轟音は立体的に響き、自然の存在感を際立たせる。重低音も効果的に使われ、クラシカルな作品に新たな音響体験を与えている。
音響スコア:82点
総評
『天国の日々』は、物語以上に映像と哲学的世界観に重きを置いた映像詩である。夕暮れの光に包まれる農場の描写は、映画史に残る美しさ。4K UHDはその映像美を最高の環境で再現しており、マリック作品の真髄をホームシネマで体験できる一本。視覚的体験として再見に大きな価値がある。
総合スコア:90点
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