ロンドンの風に吹かれて:佐野元春がくれた旅のメロディ|この街に、音楽が呼んでいた-プロローグ、2025年ロンドン旅のはじまりに

ロンドンの風に吹かれて:佐野元春がくれた旅のメロディ|この街に、音楽が呼んでいた-プロローグ、2025年ロンドン旅のはじまりに

はじめに

2025年のゴールデンウィークに、僕はロンドンに4泊6日の旅行に行ってきた。

ロンドンに行こうと思ったのは、20年来の欲望があったからである。僕が前に勤めていた会社では、勤続10年ごとに年休とは別に10日間の休暇をもらえた。佐野元春ファンの僕は20数年前にその10日間の休暇を使ってアメリカ東海岸を縦断し、ニューヨークに立ち寄って佐野元春の1984年のアルバム「VISITORS」の雰囲気を肌で感じていた。

次の勤続10年ごとの休暇10日間付与の時にはヨーロッパに行こうと考えていた。目的はやはり佐野元春が1989年のアルバム「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」を生み出したロンドンの雰囲気を直に感じることであった。

しかし、勤続20年の時は会社の指示で福岡に転勤させられ、勤続休暇も5日間に減らされてしまった。そのため、ヨーロッパ周遊は無理だと判断して、台湾に旅行に行った。

その後も福岡に住んでいた時に香港やタイ、沖縄にしばしば訪問していた。そして、勤続30年の時に再び10日間の休暇が付与されることが確定したので、今度こそヨーロッパ周遊をと思っていた。

それでも勤続30年の休暇の時にもヨーロッパに行くことができなかった。なんと全世界をコロナ禍が襲い、海外旅行は事実上不可能になってしまったのである。その時にはコロナ禍が少し落ち着いた時を見計らって、広島と呉を観光することでお茶を濁していた。

コロナ禍は2年ほど続いたかと思うが、コロナ禍終結後もなかなか海外旅行への弾みはつかなかった。沖縄には数回行ったが、海外旅行はしていなかった。2024年、ヨーロッパ周遊は諦めてロンドンだけに絞った旅行はできないかと考え始めた。佐野元春が1989年のアルバム「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」を作ったロンドンの雰囲気を堪能できれば問題はないという判断である。2024年に旅行に行くことは考えはしたものの、母が認知症を悪化させてしまい、介護する父の負担が重くなったこともあり、会社と交渉して福岡住まいから実家のある神奈川に転居することにしたため、旅行はできなかった。神奈川に転居してしばらくして、母は亡くなった。母の法事等もある程度済ませて、2025年になってロンドン旅行を実現させるために準備を年初めから開始した。20数年来の欲望を叶えようと企んだのが、今回の旅行の発端である。

旅行の手配はH.I.S.で行う

ロンドン旅行をするにあたり、飛行機の手配とホテルをどうするかをまず考えた。僕の旅行スタイルはバックパッカー的なので、本来ならばスカイスキャナーで安い航空券を確保し、Booking.comでホテルを予約すれば、この物価高及び円安基調の中でも40-50万円程度で旅行には行けるなとは思った。しかし、母を亡くして気力を無くしている父のことを考えると、スカイスキャナー&Booking.comでの予約はリスキーだと思った。何か父に問題があって旅行をキャンセルせざるを得なくなった時でも、予約した航空券代は全く戻ってこないからである。もう一つ懸念があり、スカイスキャナーで予約する格安航空券は、どこか別の空港を経由していくことになるので移動時間が長くなり、ロンドン滞在時間が短くなるという弱点もあった。

それで、羽田空港からロンドンの直行便で、かつキャンセル代が日にちに応じて段階的に変動するツアーの方がトータルではリスクは少ないと考え、H.I.S.の正月限定ツアーに申し込んだ。当然旅費はかなり高い。4泊6日で65.5万円もする。それも、航空券代とホテル代だけであるので、現地の観光代や食費は別途必要である。しかし、行こうという気持ちが湧いている今、行動しないと行くチャンスを逃すと思い、2025年1月末に申し込んだ。

ツアー代は高いので、申し込んだ時には12.5万円だけ頭金が引き落とされ、キャンセル料の無料期間が終わる3月20日に残りが引き落とされる仕組みになっていた。幸い、クレジットカードでの支払いで申し込んだ時にはゴールドカードだったので、支払いはゴールドカードで問題なく行えた。その後、ゴールドカードはプラチナカードにアップグレードしている。

主治医にChatGPTで作成した英文の薬剤証明書の署名をしてもらう

ロンドンに旅行に行くにあたり、心配したのは服用している薬である。精神疾患を患っている僕は、いろいろな薬を服用している。イギリスの大使館で英語で調べると、服用している薬を持ち込むのに問題はないのだが、英文の薬剤証明書を持って行ったほうがいいと推奨されていた。

英文の薬剤証明書をどうするかは悩みの種だった。主治医に相談はしたが、「英語はできないから書けない」と言われてしまった。それで、ネットで英文の薬剤証明書のテンプレートを探したのだが、これというものが見つからなかった。

そこで、ChatGPTを使うことを考えた。無料会員ではあるが、ChatGPTのアカウントは持っていたので、ChatGPTで英文の薬剤証明書のテンプレートを作成させ、服用している薬の名称や服用回数、病院名だけ自分で英語で書く、という方法を取ったのである。ChatGPTに英文の薬剤証明書のテンプレートを作らせると、あっという間に出来上がった。あとは、自分で服用している薬の英語名称と服用回数、病院名を入力した。

出来上がった英文の薬剤証明書だが、当然主治医の自筆のサインが必要だったので、次の診察日に英文の薬剤証明書を印刷して持っていき、ローマ字で自筆のサインをしてもらった。流石に薬の名称まで英語で書いてあるので、そこだけは主治医も確認できて、サインをもらえた。これで、心配のタネが一つ消えた。

イギリス旅行にはETAの申請が必要

2025年1月から、イギリスを旅行する際にはETAと呼ばれる事前の電子渡航申請が必要になってしまった。1月の時には£10だったが、4月9日からは£16に値上げしている。旅行のキャンセル料がかかる3月20日になってから、ETAの申請をした。一番楽なのは、iPhoneなどのスマートフォンにETAアプリをインストールし、ETAアプリの指示通りに申請をすることである。パスポートの読み取りから、自分の顔写真の撮影と提出、申請料の支払いなど、PCやMacで行うと手間のかかる作業がスマートフォンだと1台で完結できるから、楽である。もちろん、ETAは英語しか表示しないので、英語がわからないと少々手続きが辛いと思う。申請から3営業日で申請完了との話だったが、実際は申請した直後に申請完了していた。

旅行の計画は「地球の歩き方」とChatGPT、「約束の橋」MVで立てる

ロンドンに旅行に行くツアーの申し込みをしたものの、具体的に動き出したのは3月20日を過ぎてからである。この頃から「地球の歩き方」を読み出して、どこを観光したいか、ピックアップしていった。また、佐野元春の1989年のアルバム「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」が制作されたスタジオの外観ぐらいは見たいと思い、「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」のライナーノーツやブックレットを読み、当たりをつけていった。

ついでに、「約束の橋」のミュージックビデオも久々に見返し、映像に出てくる場所がどの辺りかもおよそ見当をつけた。僕が見たいと思っている観光名所がいくつか出てきているようなので、イメージは掴めてきた。

「地球の歩き方」を読んで、ある程度行きたい観光名所はピックアップできたものの、泊まるホテルが確定していなかったので、ホテルからどのように行くのかが皆目見当がつかなかった。4月中旬にH.I.S.から旅行の最終日程表と航空券のeチケットが発行された。それで、泊まるホテルが確定した。HOTEL 65-67-69-73-61というシェパーズ・ブッシュ・ロードにあるホテルで、ロンドン中心部から地下鉄で15-20分程度、地下鉄の駅であるハマースミス駅からは歩いて10分程度の場所だった。

泊まるホテルは決まったが、「地球の歩き方」を見ても地理の位置がよくわからなかった。それで、ChatGPTを駆使することにした。ChatGPTにヒースロー空港からホテルまでの行き方、ホテルから各観光名所への行き方を調べさせ、回答をメモにコピーし、その回答と「地球の歩き方」を突き合わせることで、ようやく地理の位置を掴むことができるようになった。

ChatGPTに調べさせたのは観光名所までの行き方だけではなかった。旅行中、2-3の観光名所に行く時間が指定されていた。4月30日の午後のアフタヌーンティーと、5月1日の朝10時のウェストミンスター寺院見学は、事前予約していて確定していた。また、佐野元春がアルバム「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」をレコーディングした旧AIR Studiosがあった場所は5月1日にIKEAがオープンするというので、5月1日以降の見学日程にしたかった。それらをまとめてChatGPTに見たい観光名所を全て挙げて、日時に決まっている場所はそれも指定して、観光スケジュール案を作成させたのである。出来上がった観光スケジュール案は一部観光名所やカフェの住所に間違いはあったものの、旅行をするのにかなり便利なスケジュール案になった。それも、iPhoneのマップにリンクするpdfファイルを作成できたので、現地で活用できた。下記にダウンロードファイルをアップしてあるので、興味ある方は見ていただきたい。

現地でのITデバイスは、キャリアのローミングを活用する

ロンドン旅行に行く際に気になったのは、iPhoneやiPad Airのモバイル機能をどうするかだった。福岡に住んでいて香港やタイに行った時には大体現地のプリペイドSIMを買って、日本で使っている携帯キャリアのSIMから差し替えて、格安で現地のキャリアを使っていた。

ただ、今回ロンドンに行く際には、iPhoneは楽天モバイル、iPad Airはpovoとの契約をしていたこともあり、どちらもキャリアの国際ローミングで行くことにした。コロナ禍あたりからキャリアの通信料が下がり、国際ローミングでもそんなに負担増にはならないという判断があった。特にiPhoneの楽天モバイルは主回線は個人契約で、副回線は株主優待の契約でデュアルSIM仕様にしているので、主回線と副回線を足せば計4GBは無料で国際ローミングが使える。足りなくなっても1GB500円の追加費用で足りるので、損はないという判断である。

もう一つ、iPhoneやiPad Airをロンドンで使う際にはこの旅行記やブログへのアクセスをどうするかという問題もあった。この旅行記やブログには海外からのアクセスに制限をかけている。記事はどこからでも見られるが、ログイン画面とかAPIに関わる部分は海外からはアクセスできないようになっているのだが、その制限がかかったままだと、ロンドンに行った時に旅行記やブログ記事が全く書けないのである。とはいえ、アクセス制限を6日間も外すと、ロシアあたりから不正アクセスされる危険性が否定できなかった。そのため、ExpressVPNというVPNを契約し、iPhoneとiPadでロンドンからこのブログにアクセスする場合に、VPNを経由すればロンドンからのアクセスではなく、日本からのアクセスに変わるのでリスクを減らせるようにした。

さらに、iPhoneやiPad Airの充電をどうするかという問題もあった。日本とイギリスでは電源電圧が異なるし、コンセントの形状も異なるからである。ただ、香港に行った時にAppleで買ったAppleワールドトラベルアダプタキットを持っていたので、それを持って行って、かつ普段使っている充電器とアダプタキットが交換可能であることを確認していた。普段使っている充電器はワールドワイド仕様なので、コンセントの形状だけ変換できれば、ロンドンのホテルでも使えた。

念の為に、買ったといいが使ったことのないモバイルバッテリーも再度充電して持っていくことにした。iPhoneで写真や動画撮影と、Citymapperのナビゲーションをさせるとバッテリーの消費が大きいので、モバイルバッテリーは必須だった。事実、バッテリーは1日持たず、モバイルバッテリーによる充電が必要な場面が何回かあった。

ロンドンではクレジットカードだけで足りる

ロンドンは日本以上にクレジットカードでの支払いが使える都市である。それもコンタクトレスのクレジットカード、つまりタッチ決済のクレジットカードでの支払いが非常に使いやすい。iPhoneにクレジットカードを登録しておけば、日本でSuicaをApple Payで使うのと同じ感覚で使える。実際、地下鉄やバスから食堂、観光地の入場料、売店に至るまで、クレジットカードが使える。逆に現金お断りの店も多々存在する。

だから、海外旅行につきものの現金の両替は不要と言ってもいいと思う。一部マーケット等で現金を使う機会はあるが、そういうマーケット等に行かなければ、両替は不要である。

ただ、クレジットカードでもVisaやMaster Card以外だと使えない店もある。僕が持っているセゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カードは使えない店もそこそこある。また、クレジットカードの不正利用増大を受けて、クレジットカード会社が利用のセキュリティチェックを厳し目にしているので、所有しているクレジットカードが使える店でも支払いを拒絶される場合もある。だからロンドンを観光する場合には、クレジットカードはVisaかMaster Card提携のカードを2-3枚用意したほうがいい。

ロンドンのナビゲーションはCitymapperアプリが優秀だが、弱点も

ロンドンを観光するのに、今はスマートフォンにインストールしたiOSのマップやGoogle Mapでナビゲーションすることも多いとは思う。しかし、ここロンドンに限っては、Citymapperというアプリが優秀である。ロンドン市内のナビゲーションを目的に開発されたマップアプリなので、自分の現在地から行きたい場所を入力すると、最適な交通機関のナビゲーションが現れる。これがあれば、行きたいところには確実に行ける。交通渋滞にハマるバスのナビゲーションもダイヤ乱れを考慮してナビゲーションするので、使えるアプリである。

ただ、弱点もある。これはCitymapperの弱点というより携帯電話のエリアの問題なのだが、Tubeと呼ばれる地下鉄では携帯電話の電波が届いていない。トンネル間だけでなく、ホームでも電波が入らないのである。地下鉄で圏外になってしまうスマートフォンでは、ナビケーションが機能せず、自分で駅名を確認して行動する必要がある。これはiOSのマップでもGoogle Mapでも同じ問題を抱えている。

また、地上でもたまに動作しない時がある。携帯電話のネットワークが混んでいるようで、検索結果が出てこない時があるので注意は必要である。

日にち別の旅行記

  1. ロンドンの風に吹かれて:佐野元春がくれた旅のメロディ|空を越えて、HOTEL 65へ-旅の初日、ロンドン上陸
  2. ロンドンの風に吹かれて:佐野元春がくれた旅のメロディ|旅は続く、衛兵と鐘の音、そしてあのスタジオへ-2日目、ロンドンの心臓を歩く
  3. ロンドンの風に吹かれて:佐野元春がくれた旅のメロディ|大聖堂に祈り、アビー・ロードで立ち止まる-3日目、ロンドンが語りかけてきた
  4. ロンドンの風に吹かれて:佐野元春がくれた旅のメロディ|塔と子午線、そしてあの約束の橋へ-4日目、ロンドンに別れを告げる前に
  5. ロンドンの風に吹かれて:佐野元春がくれた旅のメロディ|深夜のバスと13時間の空、旅のラストコードを聴きながら-5-6日目、ロンドンにさよならを
  6. ロンドンの風に吹かれて:佐野元春がくれた旅のメロディ|映像特典

ChatGPTとSafariで作成したロンドン観光のスケジュール案pdfファイル(ダウンロード可能)

コメント

タイトルとURLをコピーしました