THE ABYSS(4K UHD Blu-ray)|アビス|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

THE ABYSS(4K UHD Blu-ray)|アビス|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

THE ABYSS 4K UHD Blu-rayジャケット 邦題 アビス
レーベル Buena Vista Home Entertainment
制作年度 1989年(劇場公開版)/1993年(完全版)
上映時間 140分(劇場公開版)/171分(完全版)
監督 ジェームズ・キャメロン
出演 エド・ハリス、メアリー・エリザベス・マストラントニオ、マイケル・ビーン
画面 2.39:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY ATMOS 英語/dts-HD MA 2.0ch 英語/DOLBY DIGITAL 5.1ch スペイン語(劇場公開版のみ)/dts-HD HR 5.1ch フランス語
字幕 英語、スペイン語(劇場公開版のみ)、フランス語

あらすじ

海底を進んでいたアメリカの原子力潜水艦モンタナは、何かに遭遇してしまい、そのために海底に沈没してしまう。

モンタナ沈没の報を受けたアメリカ海軍は、モンタナ沈没地の近くにあるリグにシールズを派遣する。海底の採掘をしていたリグの責任者、バドはシールズが派遣されることに不満の意を唱えたが、会社の方針のため従わざるを得なかった。

シールズと共にやってきたのはバドの妻であるリンジーだった。バドとリンジーは仲が悪くなっていて、離婚協議をしていた。リンジーは設計をしていたためリグに詳しく、シールズと行動を共にするためにリグに来たのだった。シールズとリンジーは潜水病発症を防ぐための気圧調整を行うが、シールズのリーダー、コフィは潜水病にかかってしまう。

シールズはバドたちリグのクルーと共に沈没したモンタナに接近して、生存者を探すが、全員死亡していた。コフィは死んだモンタナの指揮官から核弾頭の発射キーを回収する。

海上ではモンタナの沈没をめぐってアメリカとソ連が対立していた。アメリカはソ連の仕業でモンタナが沈没したと考えており、ソ連はそれに反発していた。その影響を受けて、シールズはリグのクルーを差し置いてモンタナに格納されている核弾頭の回収を急ぐ。

折しも海上では嵐が発生しており、リグと連結していた船のクレーンが海底に落下する。シールズが勝手に核弾頭の回収をリグのクルーに知らせずに行ったために、落下するクレーンからの回避ができず、リグは海底の奥底に沈む寸前まで行った。

海底に沈む寸前まで行ったリグの中にいるクルーは、シールズが核弾頭を回収したことを知る。そして、モンタナ沈没の原因となった何かがリグ内に侵入し、リンジーやバドと出会う。何かは水を操ることのできるエイリアンだった。そのエイリアンを見たコフィは理性を失い、エイリアンとの交流を阻害してしまう。

潜水病の症状が悪化したコフィは、エイリアンがソ連の秘密兵器だと思い込み、海底深くに核弾頭を打ち込もうと画策する。コフィの企みを阻止すべく、バドやリンジーが立ち上がり、コフィは海底で圧殺されるが、核弾頭は海底深く沈んてしまった。また、コフィとの戦いでリグから離れてしまったバドとリンジーはリグに帰る方法がなく、リンジーは臨死状態になってバドによってリグに戻る。

リグでのバドの必至の蘇生作業により、リンジーは息を吹き返す。そして、生き残ったシールズのメンバーと協力して、バドは海底深く潜った核弾頭の起爆装置を無効化すべく、一人海底に沈んでいく決意をする。

バドは海底深く潜り込み、なんとか核弾頭の起爆装置を解除することに成功するが、海底深くからリグに帰ってくる酸素はなかった。しかし、エイリアンがバドを救出し、彼らのマザーシップに連れていく。そこで、バドはエイリアンの目的を知ることになる。

レビュー

ターミネーター」、「エイリアン2」、「ターミネーター2」、「タイタニック」、「アバター」など大ヒット作を連発しているジェームズ・キャメロン監督の中で、唯一失敗作とみなされている問題作が、この「アビス」です。北米地域での興行収入が制作費を下回っているからですが、内容として出来が悪いわけではありません。特に1993年にリリースした劇場公開版より31分も長い完全版では、争いの絶えない人類に対する警告という意味で強いメッセージを放っていて、作品の完成度が上がっています。4K UHD Blu-rayおよび同梱のBlu-rayでは劇場公開版と完全版を同時収録していますが、今回は完全版を鑑賞しています。Rotten Tomatoesでは批評家評価は89%、観客評価は83%と高い評価を得ています

映画は、海底に住むエイリアンと人類のファースト・コンタクト物ではありますが、エイリアンが強大な力を有しており、愚かな争いを続ける人類を滅ぼすだけの力を持っているところがキーポイントです。完全版は人類の犯す紛争、戦争に対して警告を発しているところがテーマであり、劇場公開版では語りきれなかったテーマです。

人類が愚かなのはシールズのコフィの動きに代表されます。原子力潜水艦が沈没したのはソ連の仕業だと判断してしまうコフィは、潜水病を発症しているからとはいえ、その後ソ連を刺激するような行動に出てしまうところが、愚かです。コフィだけではなく、アメリカ海軍や、それに対抗するソ連に対しても同様のジャッジが下されています。

そんな愚かな人類は滅ぼされるだけの条件を持ち合わせているにも関わらず、最後は救われるのはバドとリンジーの夫婦愛が人類の希望になっているからです。バドとリンジーは映画の冒頭では離婚寸前の仲の悪い夫婦として現れますが、事件が起こっていくたびに夫婦の絆を元に戻し始めて、最後はお互いを思いやる愛情たっぷりの夫婦に戻っていきます。バドが自身の身を犠牲にして核弾頭を無力化する行動に出たことや、バドとリンジーのお互いを気遣う態度が、エイリアンたちの人類に対する裁きを回避させられる要因です。現実の世界では、監督のジェームズ・キャメロンとプロデューサーのゲイル・アン・ハードの夫婦が映画制作中に離婚をしてしまったため、映画の中のバドとリンジーの夫婦はキャメロンとハードの夫婦を描写したものと考えられます。

映画は劇場公開版と完全版の2バージョンをシームレスブランチング機能で収録しています。「エイリアン2」と異なり、完全版はフィルムとして再編集を施していますので完全版の劇場公開も可能で、1993年には劇場公開がされました。ビデオ編集の「エイリアン2」に比べれば、4K UHD Blu-ray化をするのは容易だろうと思われます。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターはスーパー35方式の35mmフィルムですので、ネイティヴ4Kでの収録になります。「ターミネーター」や「エイリアン2」、「ターミネーター2」の4K UHD Blu-rayと同じく、フィルムが元素材にしては画面がクリアすぎます。フイルムの粒子が全く見えませんのでデジタルカメラで撮影したように見え、多少の違和感を感じます。ただ、「ターミネーター」や「エイリアン2」、「ターミネーター2」の4K UHD Blu-rayに比べれば暗いシーンが多く、映像が破綻することなく闇のわずかな違いを描き切っていますので、納得のいくものになっています。明るいシーンはDOLBY VISIONの効果で鮮明ですが、フィルムっぽくなくて違和感は感じます。解像度は相当高く、リアリティのある映像に仕上がっています。

音響はDOLBY ATMOSにミックスされ直されています。自然な音場感を提示していますので、作ったような三次元空間には感じられないのですが、自分を取り巻く様々な位置で環境音が鳴り響きますので、映像に寄り添う音響効果を発揮しています。海底の中やリグの中のオブジェクトの配置は、納得のいくものに仕上がっています。ただし、ボリュームはかなり小さいので、AVアンプのボリュームは相当上げる必要はあります。

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