言葉が映し出す時代の空気を体感した夜|佐野元春 スポークンワーズ・ライブ In Motion 2026-空気|東京・丸の内COTTON CLUB
2026年6月30日@東京・丸の内COTTON CLUB

はじめに
佐野元春がスポークンワーズ・ライブの開催を告知したのは、5月10日の「元春TV SHOW」でのことだった。2017年に渋谷で開催された「In Motion 2017-変容」以来、9年ぶりとなるスポークンワーズ・ライブである。
僕自身にとっては、最後にスポークンワーズ・ライブを観たのが2010年の「In Motion 2010-僕が旅に出る理由」だったので、実に16年ぶりの参加となった。
会場は東京・丸の内COTTON CLUB。佐野元春は2008年にも、ファンクラブ会員限定の「mofa主催 プレミアム・ライブ『佐野元春プレミアムナイト@コットンクラブ』」を開催しており、今回は18年ぶりとなるCOTTON CLUBでのライブとなった。
今回のファンクラブ先行予約は、COTTON CLUBの予約サイトを利用する方式だったため、事前にCOTTON CLUBのユーザーアカウントを取得し、予約に臨んだ。
公演は6月30日と7月9日・10日の3日間で、各日2回公演、計6公演が予定されていた。どの公演を申し込むか迷ったが、本来であれば土日に近い7月9日・10日の公演に参加したい気持ちはあった。しかし、その日程は地方から参加するファンも多く、チケットの競争率が高くなると考え、平日開催となる6月30日20:30開演の2nd Stageを第一希望、18:00開演の1st Stageを第二希望として申し込んだ。
結果として、6月30日20:30開演の2nd Stageのチケットを確保することができた。
丸の内COTTON CLUBに赴く
6月30日は仕事を終えてから丸の内COTTON CLUBへ向かった。夕方に勉強会が入ってしまったため、もし1st Stageを予約していたら間に合わなかったところだが、19:45開場の2nd Stageだったので時間には余裕があった。
開場30分前にCOTTON CLUBへ到着した。18年ぶりの訪問だったこともあり、東京駅から会場まで向かう途中で少し道に迷ってしまった。
到着すると、ちょうど1st Stageを終えた観客が店内から出てくるところだった。出口では係員がパンフレットを配布しており、邪魔にならないよう通路の端で待機していた。
1st Stageの観客が退場すると、2nd Stageの入場整列が始まった。紙のチケットはなく、COTTON CLUBから送られてきた確認メールを提示すれば入場できる仕組みだった。ファンクラブ先行予約者は会員証の提示も必要で、僕は持参していたので問題なかったが、多くのファンクラブ会員が会員証を忘れてしまい、「しまった!」という表情を浮かべていた。もっとも、会員証がなくても入場自体は可能だったようだ。
19:45に入場。COTTON CLUBは約180人収容の小さなライブハウスである。僕の席は後方だったが、会場がコンパクトなのでステージは十分見渡すことができた。
お腹も空いていたので、ビールとピザを注文し、ライブが始まるまで夕食を楽しんだ。

ビールの名前に「ブルーノート」と付いていたので気になって調べてみると、COTTON CLUBはブルーノート東京と同じ運営会社によるライブハウスであることが分かった。
20:30になるとメンバーがステージに登場し、ライブが始まった。
セットリスト・曲名を見る(7月10日公演終了までネタバレ注意)
ここから先には、ライブで披露された詩のタイトルを掲載しています。
- 再び路上で
- ああ、どうしてラブソングは
- ベルネーズソース
- 植民地の夜は更けて
- 日曜日は無常の日
- 何もするな
- まだ自由じゃない
- 虹の船
- 世界劇場
- 何がおれたちを狂わせるのか
再び路上で
最初の詩は「再び路上で」。『エレクトリック・ガーデン』に収録された詩である。
冒頭から一気にテンションが上がった。ステージ後方にはスクリーンが設置され、詩に合わせた映像が映し出される。佐野元春は黒縁のメガネを掛けており、その姿も印象的だった。
ああ、どうしてラブソングは
続いて披露されたのは「ああ、どうしてラブソングは」。
過去の「In Motion」シリーズとはバックの音楽がアレンジされていたが、詩そのものが持つインパクトは変わらなかった。
ベルネーズソース
3編目は「ベルネーズソース」。
これまでのスポークンワーズ・ライブでも披露されてきた作品だけに、親しみやすく感じられた。
朗読後にはMCが入った。
「In Motionシリーズは今回で6回目です。2017年にはニューヨークでも開催しました。言葉の壁を越えました。普段やっているポップロックとは違って、言葉の奥を探る実験的なライブになりますが、楽しんでもらえたら嬉しいです。」
という趣旨の話だった。
植民地の夜は更けて
この詩はあまり記憶になかったが、2010年のライブでも披露されていた作品だった。
この辺りから、佐野元春の詩が現代社会への警鐘としてより明確な輪郭を持ち始める。
日曜日は無常の日
再び知っている詩に戻ってきた。
静かな作品であり、佐野元春は朗読に合わせてアコースティックギターを奏でていた。
何もするな
静かなピアノ演奏から始まるこの詩は、とても心に響くものがあった。
まだ自由じゃない
この詩をライブで聴くのは初めてだった。
2017年のライブで初披露された作品で、配信でも聴くことができる。
朗読後にはMCが入った。
「このスポークンワーズ・ライブはいろいろなタイトルで続けてきました。今回は『空気』。自分の周りにはどんな空気が流れているのか、そんな思いでやっています。次の詩はこのセッションのために作りました。」
虹の船
続いて披露されたのは新作「虹の船」。
現代社会への警鐘という意味では、この日最もストレートなメッセージを持った作品だったように思う。
朗読後にはバンドメンバーの紹介が行われた。
キーボードは井上鑑、ドラムは山本秀夫、ベースは坂井紅介という編成だった。
世界劇場
ライブも終盤に入り、会場の熱気も高まっていた。
この詩の後には、もう一度バンドメンバーの紹介が行われた。
何がおれたちを狂わせるのか
最後の詩は「何がおれたちを狂わせるのか」。
アップテンポで象徴的な作品であり、観客の盛り上がりも最高潮となった。
朗読後にはMCが入った。
「初日ということで、なんとかうまくできてよかったです。観客のみんなが何を感じているのかが分かります。あのメガネどうなの? 買ったばかりなので、しばらく使います。今夜は嬉しかったです。どうもありがとう。」
と、自身が掛けていたメガネについてもユーモアを交えて話していた。
その後、メンバーはステージを後にし、ライブは幕を閉じた。
ライブ終演後
飲食代は、チケット購入時に利用したクレジットカードへ自動的に請求される設定にしていたため、会計をする必要はなかった。
場内を出ると、係員からパンフレットを受け取った。
中を開くと、セットリストやバンドメンバーの紹介に加え、この日披露された詩がすべて掲載されていた。これは非常にありがたい内容だった。
僕にとっては16年ぶりとなるスポークンワーズ・ライブだったが、今という時代について改めて考えさせられる、非常に意義深いライブだったと思う。

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