『人は大空へ』LaserDisc(輸入盤)レビュー|IMAX初期を代表する“空への夢”。人類の飛翔史を27分に凝縮した体感型映像【SD / SDR / PCM】
人類は、はるか昔から空を飛ぶことに憧れてきた。
熱気球によって初めて空へ浮かび、やがて飛行機を生み出し、大陸と大陸を結び、ついには地球そのものを飛び出して宇宙へ進出する──。
『人は大空へ』は、そうした人類の“飛ぶことへの夢”を、IMAXならではの巨大映像で描いた短編作品である。
スミソニアン航空宇宙博物館のために制作された初期IMAX映画の代表作の一つであり、日本では1978年に開催された宇宙科学博覧会で紹介されたことでも知られている。
本LaserDiscは1990年にLUMIVISIONから発売された輸入盤。画質そのものは現在の基準から見れば厳しいものの、DVDやBlu-rayでは発売されていない本作を家庭で鑑賞できるという点で、現在では非常に貴重なディスクである。
『人は大空へ』輸入盤 LaserDisc 基本仕様
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邦題 | 人は大空へ |
|---|---|---|
| 原題 | To Fly! | |
| レーベル | LUMIVISION | |
| 制作年度 | 1976年(劇場公開版) | |
| 上映時間 | 27分(劇場公開版) | |
| 監督 | ジェームズ・フリーマン & グレッグ・マクギリヴレイ | |
| 出演 | トーマス・マクグラス | |
| 画面 | 1.33:1 / SD / SDR | |
| 音声 | PCM 2.0ch 英語 | |
| 字幕 | Closed Caption 英語 | |
| リージョン | LD=Region Free | |
| パッケージ | LD 1枚(本編) |
あらすじ(短縮版)
人類が熱気球によって空へ飛び立ち、飛行機を発明し、大陸を越え、やがて宇宙へと進出していくまでを、IMAXならではのスケール感で描いた短編映像作品。
あらすじ(詳細)
人類は昔から、空を飛ぶことに夢を抱いてきた。
最初は熱気球によって空へ浮かぶことを知り、その後、飛行機の発明と発展によって、人間の移動範囲は飛躍的に広がっていく。
空を飛ぶことで、西洋と東洋の距離は縮まり、陸地と海という地理的な境界も、人間にとって以前ほど大きな障害ではなくなっていった。
しかし、人類の空に対する情熱がそこで終わることはなかった。
より高く、より遠くへという欲求は、ついには地球の大気圏そのものを越え、人類を宇宙へと向かわせる。
そして、人類は遥か彼方に広がる宇宙の探索へと、新たな夢を追い続けていく。
見どころとテーマ
スミソニアン航空宇宙博物館向けに制作されたIMAX初期の代表作
アメリカのスミソニアン航空宇宙博物館の目玉展示の一つとして制作された、IMAXフィルム初期を代表する作品。
IMAXという上映方式そのものの魅力を観客に伝える役割も担っており、巨大スクリーンを生かした映像表現が随所に盛り込まれている。
日本では1978年の宇宙科学博覧会で紹介
日本では1978年、東京・江東区で開催された宇宙科学博覧会において紹介され、当時としては珍しかった巨大映像体験の一つとして観客に披露された。
人類が空を飛ぶ夢を歴史的に描いた短編映画
人類の飛翔への憧れを、熱気球から始まり、飛行機の発展、そして宇宙進出へとつなげていく。
わずか27分という上映時間の中で、人類の飛行史を大きなスケールでまとめている。
IMAXフィルムを存分に活用した広角描写
初期IMAX作品ということもあり、広大な風景や空から見下ろす景色など、巨大スクリーンで見た時に最大の効果を発揮する広角映像が数多く登場する。
ストーリーよりも“映像を体感すること”そのものが作品の大きな目的になっている。
LaserDisc 映像レビュー【480i / SDR】
本LaserDiscは1990年、現在は存在しないLUMIVISIONからリリースされたもの。IMAXフィルム作品を家庭で鑑賞できるようテレシネした、当時としては珍しいディスクである。
LaserDiscというフォーマットのため、解像度は当然ながら低い。
アナログNTSC映像特有のノイズも見られ、現在の4Kテレビで鑑賞すると、画質面ではかなり厳しい部分がある。
さらに、テレシネ素材として使用されたIMAXフィルム自体にもゴミや傷が散見され、現在の修復技術を用いた映像とは比較できない状態である。
色彩もSDR収録で、発色は全体的に鈍い。シーンによっては、長年使用されたフィルムをそのまま上映しているかのような印象を受けるところもある。
しかし、それでもこのLaserDiscには独自の価値がある。
DVD以降のディスクメディアでは発売されていない『人は大空へ』を家庭で鑑賞できること自体が貴重であり、1.33:1というアスペクト比も、IMAXフィルムの縦方向に広い映像を比較的自然な形で収めている。
空撮や広大な風景のシーンでは、解像度の低さを超えて、IMAX映画らしいスケール感を感じ取ることができる。
映像スコア:68点 —— LaserDiscというフォーマットと古いテレシネ素材ゆえ画質面の限界は大きいが、初期IMAX作品の画角と雰囲気を家庭で体験できる歴史的価値は高い。
音響レビュー【PCM 2.0ch / Dolby Surround】
劇場公開時にはIMAX 6-Trackで上映された本作だが、このLaserDiscではDolby Surround 3-1chをマトリックスエンコードしたPCM 2.0chで収録されている。
AVアンプのDolby Surroundモードでデコードして視聴すると、そのサラウンド効果は予想以上にしっかり現れる。
空を飛ぶ乗り物や環境音が視聴者の周囲へ広がり、単なるステレオ音声とは異なる空間的な広がりを感じることができる。
現在のAVアンプでDolby Surround処理を行うと、本来の3-1chサラウンドを5.1ch以上のスピーカー構成へ拡張して再生できるため、家庭でも意外なほど包囲感のある音場が生まれる。
さらに天井スピーカーを備えた環境では、高さ方向にも音場が拡張されるため、初期IMAX作品らしい“体感型音響”として楽しむことができる。
場合によってはナレーションが視聴位置の後方から聞こえるように感じる場面もあり、単純なフロント中心のミックスではなく、意図的に空間表現を取り入れていることがうかがえる。
PCM音声はCDと同等の16bit/44.1kHzで収録されており、1990年当時のデジタル音声らしい硬さを感じる部分はあるものの、音質そのものは比較的良好。
ただし、収録レベルは低めなので、AVアンプのボリュームは通常より上げる必要がある。
音響スコア:82点 —— PCM音声の明瞭さとDolby Surroundによる包囲感は予想以上。現在のAVアンプで再生すると、初期IMAXらしい空間表現を十分に楽しめる。
総評
IMAXフィルム初期の代表作である『人は大空へ』は、DVD以降のディスクメディアでは発売されておらず、家庭用ビデオとしてはLaserDiscが事実上唯一の選択肢となっている。
しかも日本ではディスク自体が発売されなかったため、この輸入盤LaserDiscは現在となっては貴重な存在である。
作品そのものは、スミソニアン航空宇宙博物館向けに制作された短編映画という性格から、人類が空を目指してきた歴史を分かりやすく紹介する教育的内容になっている。
深いドラマ性や複雑なテーマを追求する作品ではない。
その一方で、IMAXフィルムが得意とする広角撮影や空撮を最大限に活用し、「巨大スクリーンで観客をどこまで圧倒できるか」という初期IMAXの思想が非常に分かりやすく表現されている。
熱気球、飛行機、そして宇宙へと人類の視点が次第に高く、遠くへ移っていく構成も、IMAXというフォーマットとの相性が良い。
LaserDiscとして見ると、NTSCアナログ映像のノイズやフィルム素材の傷、発色の鈍さなど、現在の映像メディアと比較して厳しい部分は多い。
音声も現在のロスレス・マルチチャンネル音声とは異なり、PCM 2.0chにDolby Surroundをマトリックスエンコードした方式である。
それでも、現在のAVアンプを使って再生すると、サラウンドは予想以上に効果的であり、IMAX映画が本来持っていた体感型映像・音響の一端を家庭でも味わうことができる。
映像や音質そのものを評価するというより、IMAX黎明期の歴史的作品を家庭で鑑賞できることに最大の価値がある一枚である。
総合スコア:84点 —— 画質そのものは時代相応だが、IMAX黎明期の映像思想と“空を飛ぶ夢”を家庭で体験できる貴重なLaserDisc。歴史的価値を含めて評価したい一本。
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