グレイハウンド(4K UHD/Apple TV+)

No Image 原題 GREYHOUND
レーベル Apple Original Films
制作年度 2020年
上演時間 91分
監督 アーロン・シュナイダー
出演 トム・ハンクス、スティーヴン・グレアム、エリザベス・シュー
画面 2.40:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY ATMOS 英語
字幕 日本語

あらすじ

 第二次世界大戦の最中、アメリカ軍はイギリス軍に物資を送り届けるため、輸送船団をアメリカからイギリスに向けて大西洋を横断していた。しかし、アメリカ、イギリス領空の海域は安全だったのだが、領空外に出るとドイツのUボートに攻撃され、危険が付きまとっていた。アメリカの駆逐艦「グレイハウンド」の艦長になったアーニーは、アメリカからイギリスに物資を送り届ける輸送船団の護衛にあたっていた。しかし、アメリカの領空区域を抜けた途端、ドイツのUボートの攻撃に遭い、Uボートを撃沈させようと努力するものの、Uボートによって輸送船団の一部は沈没させられる。グレイハウンドは反撃をして、Uボートの撃沈をするのだが、Uボートは1隻だけでなく、複数存在していて輸送船団を狙っていた。

感想

 トム・ハンクスが主演と脚本を担当して、2020年のサマーシーズンの話題作として制作された映画が、この「グレイハウンド」です。2020年のサマーシーズンの話題作の予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で劇場での上映ができず、コンテンツ不足に悩むAppleが巨額の費用をSONY PICTURESに払い、自社のApple TV+で配信限定で2020年7月10日よりスタートさせた経緯があります。

 この映画には特徴が一つあり、そのせいで上映時間が91分とかなり短い作品になっています。その特徴とは、枝葉末節を取り除き、ただ一点、連合国の輸送船団対ドイツのUボートの死闘だけを描いているということです。この手の映画につきものの人間ドラマが極限まで削られた結果、最初から最後までテンションの続く珍しい映画になりました。

 人間ドラマで言えば、冒頭のグレイハウンドの艦長になったアーニーとイヴリンの関係が多少描かれますが、それは本編とはあまり関係なく、せいぜいイヴリンがアーニーに送ったプレゼントが後半で使われるぐらいの関係性しかありません。また、アーニーとグレイハウンドの給仕のリレーションシップも若干描かれますが、高い緊張感にあるアーニーは、給仕の運ぶ料理には一切手につけず、せいぜいコーヒーを飲むことしかしないという点でも、人間ドラマが薄い感じを抱く原因になっています。

 その一方で輸送船団対ドイツのUボートの死闘は、物語の主軸になっていることもあり、常に緊迫感をもって描かれます。Uボート側からのグレイハウンドに対する挑発も含め、連合国軍に肩入れしたくなるようにストーリーが練り込まれています。Uボートの輸送船団に対する攻撃は、次第に輸送船団の犠牲を増やすことになり、アーニーのUボートに対する敵対心を煽るようになっています。

 輸送船団を護衛するのはグレイハウンドだけではなく、別の護衛艦もいますが、それらが活躍するかと思うとUボートに撃沈させられ、ドイツ軍の優位性を示していると言えます。グレイハウンドがUボートの攻撃をどうかわして反撃するかがこの映画の肝であり、その面ではこの映画は成功していると言えるでしょう。終始クライマックス状態にあるこの映画は、緊張感を持って進行して行きます。

 この映画がオリジナル脚本かというとそうではなく、史実を元にした映画だというのもこの映画の特徴であると言えます。映画の最後で輸送船団の犠牲になった艦艇数と死者の数字が出てきますが、それは歴史の事実であり、戦争の惨さを表していると言えます。

 映像は4K UHD/DOLBY VISIONでの提供になります。大西洋の冬の時期での映像描写ということもあり、映像自体の解像度は高く、色合いは冬の冷たい感じがよく現れた映像になっています。線内の暗いシーンでは、ノイズが載るシーンもありますが、臨場感のある映像表現になっていると言えます。音響はDOLBY ATMOSでの収録で、戦争映画につきものの火器放火シーンなどで、イマーシブな音響効果を発揮します。その他にも船が波を払うシーンや、艦内音声の広がりなど、DOLBY ATMOSならではの三次元サラウンドは十分に楽しむことができます。

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