『ファイブ・コーナーズ/危険な天使たち』Blu-ray(輸入盤)レビュー|1964年ブロンクス、〈非暴力〉と〈狂気〉が交差する一夜【SDR / PCM 2.0】

『ファイブ・コーナーズ/危険な天使たち』Blu-ray(輸入盤)レビュー|1964年ブロンクス、〈非暴力〉と〈狂気〉が交差する一夜【SDR / PCM 2.0】

1960年代半ばのブロンクスを舞台に、のちに大御所となる俳優陣(ジョディ・フォスター/ティム・ロビンス/ジョン・タトゥーロ)が集結。非暴力思想に傾倒した若者と、狂気に取り憑かれた元服役囚、そして傷を抱える女性——時代の空気を背景に、二つの流れが同時進行でにじり寄り、不穏な一夜に収束していく。

『ファイブ・コーナーズ/危険な天使たち』Blu-ray 基本仕様

FIVE CORNERS Blu-rayジャケット 邦題 ファイブ・コーナーズ/危険な天使たち
原題 Five Corners
レーベル Image Entertainment
制作年度 1987年(劇場公開版)
上映時間 94分(劇場公開版)
監督 トニー・ビル
出演 ジョディ・フォスター、ティム・ロビンス、ジョン・タトゥーロ
画面 1.78:1 / SDR
音声 PCM 2.0ch 英語
字幕 英語
リージョン BD=リージョンA
パッケージ BD 1枚(本編)

あらすじ(短縮版)

1964年のブロンクス。服役を終えたハインツは、かつて襲おうとした女性リンダに再び執着を燃やす。一方、彼女を救った経験を持つハリーはキング牧師の思想に触れ非暴力主義に転向。三人の軌跡は、やがて狂気と葛藤の一夜で交差する。

あらすじ(詳細)

刑務所から出所したハインツは、かつて襲おうとしたリンダに接近。恋人ジェームズは彼女を守ろうとするが、過去に無力だった負い目を抱えている。

一方リンダを救った経験を持つハリーは、警官の父を失ったことで平和主義へ転向していた。しかしハインツの執着は狂気へと加速し、リンダを呼び出すなど危険な行動を繰り返す。

同時進行する若者たちの無軌道なエピソードは本筋とわずかに交わり、街の空気を濃く描き出す。やがて夜が極点に達したとき、三者の選択が試される。

見どころとテーマ

  • 三角関係の歪み: 被害者/加害者/“元”救い手というねじれた配置が倫理と感情を刺激する。
  • 非暴力 vs. 現実: 理念と暴力の現実が正面から突き合わされる緊張感。
  • タトゥーロの狂気: サイコパス的加害者像をじわじわと浮かび上がらせる怪演。
  • 二筋の物語: 本筋と若者サイドの並走。終盤のわずかな交差が余韻を残す。
  • 80年代インディの空気: くすんだ色彩と湿ったブロンクスの夜が作品トーンを支配。

Blu-ray 映像レビュー【SDR】

1.78:1でのHD化だが、初期HDマスター特有の甘さが目立ち、フィルムグレインも粗め。発色は浅く、全体にモノクローム寄り。暗部ノイズは許容範囲ながら、解像度と色の物足りなさが惜しい。

映像スコア:65点 —— 雰囲気は出るが、鮮明さに欠ける

音響レビュー【PCM 2.0ch(実質モノラル相当)】

セリフを中心とした平板なサウンド。レンジは狭く、ダイナミクスも限定的。AVアンプの拡張機能で空間を広げられるが、モノラル的な骨格は残る。

音響スコア:60点 —— クリアだが平面的。拡張で“雰囲気足し”は可

総評

前半は淡々と進むが、後半の暴走が作品に吸引力を与える。非暴力と暴力の衝突というテーマ性、そしてジョン・タトゥーロの怪演が際立つ。

Blu-rayの画質・音質は限定的ながら、俳優陣の若き姿と60年代ブロンクスの空気を捉えた記録的価値は十分にある。

総合スコア:68点 —— 資料性とキャストの魅力で成立するインディ佳作

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