NO COUNTRY FOR OLD MEN/ノー・カントリー/輸入盤DVDで観た映画のレビュー

NO COUNTRY FOR OLD MEN

NO COUNTRY FOR OLD MEN DVDジャケット 邦題 ノー・カントリー
レーベル MIRAMAX HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2007年
上演時間 122分
監督 ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演 トミー・リー・ジョーンズ、ハヴィエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン
画面 2.35:1/アナモルフィック
音声 DOLBY DIGITAL 5.1ch 英語
字幕 英語、スペイン語、フランス語

あらすじ

 ルウェリンはある時、ヘロインの取引の現場に出くわす。しかしその取引には失敗したらしく、かかわった人間は全員撃ち殺されていて、ヘロインと、金が残されていただけだった。ルウェリンは、金の誘惑にとらわれ、金を持ち去ってしまう。しかし、その金を回収したいアントンという殺し屋は、ルウェリンを追って各所で殺人を繰り返す。そしてその事件を追って、保安官のエドも動き始めていた。

レビュー

 2007年度のアカデミー賞で4部門を受賞したのがこの「ノー・カントリー」です。ジャンルとしてはサスペンスの部類に入るのではないかと思います。

 この映画を鑑賞してまず驚いたのが、サウンドトラックがほとんど使われていない、という点です。大抵の映画はオーケストラのサウンドトラックが随所で鳴り響いていて、物語を盛り上げるのに貢献していますが、この「ノー・カントリー」に関していうと、それがほとんどないという点で驚かされます。しかし、サウンドトラックがないから盛り上がらないかというと、そうでもなく要所要所でテンションの上がる作風をしています。しかし、サウンドトラックがない分、一種異様な雰囲気を醸し出している点も見逃せないところでしょう。

 物語としては、テキサスの砂地の乾いた感じと、登場人物のちょっと無機的な感じがよくマッチしているような気がします。とくに殺し屋アントン役のハヴィエル・バルデムの演技は、まるで当たり役であるシュワルツェネッガーのターミネーターを彷彿とさせるような無表情な役柄で、シーンの見せ場をかっさらっています。彼が鍵のかかっている家やホテルの鍵を酸素ボンベで破壊するというのも、一種独特なアプローチでインパクトを高めています。

 金を奪ったために命を狙われるルウェリンも印象深いキャラクターです。魔が差したばかりに命を狙われ、テキサスを転々と移動し、ついには国境を越えてまで生き延びようとするさまは、主役としての魅力に溢れていると思います。

 最後の登場人物は保安官のエドですが、彼はどちらかというと事件の後追い役で、物語に積極的に関与している訳ではありません。語り部としての役割が多いような気がします。ただ、どうも最初のナレーションも彼のようですし、最後のシーンも彼で終わるところからみても、物語の要所を締める役割を与えられていると思います。

 このように登場人物にいろいろ役割を与えていますが、その登場人物がどう行動するのかが、結構読めなくて、先が気になるという感覚を持ったのがこの「ノー・カントリー」であり、特にクライマックス以降あまりはっきりしない終わり方には余韻がぶつっと切れた感覚を覚えます。元々は原作小説があるとのことですが、映画的に脚色されていて、それに魅了されるといってもいいでしょう。

 映像は解像度こそDVDの標準画質ではありますが、プレイヤーのアップコンバージョンが効いていて、あまり不満を覚えません。また、砂漠のシーンが多いことから、白っちゃけたシーンになりがちですが、意外と色の階調はしっかりしていて、コントラストがしっかりしていると思います。色乗りも十分な感じを受けました。音響は前述のとおりサウンドトラックが鳴らないため、効果音とセリフ勝負という難しい展開ですが、その効果音が自然にサラウンドしているために、映画に没頭できるような仕掛けがしてあると思います。銃撃シーンなどは、薬莢の落ちる音とか、物が破裂する音などがきれいにサラウンドしていて、見事なサウンドデザインを作り出していると思います。

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