ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(4K UHD/iTunes Movies)Apple TVで観た映画のレビュー

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(4K UHD/iTunes Movies)

 

原題THE LORD OF THE RINGS:THE RETURN OF THE KING
レーベルWARNER BROS. HOME ENTERTAINMENT
制作年度2003年
上映時間201分
監督ピーター・ジャクソン
出演イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リヴ・タイラー
画面2.39:1/DOLBY VISION
音声DOLBY ATMOS 英語
字幕日本語

あらすじ

 ゴラムのスメアゴルは、かつて友と釣りをしていた時に、友が指輪を見つけ、その指輪に魅せられたスメアゴルは、友を殺してまで指輪を手に入れた。今、フロドが所有している指輪を再び自分の物にしたいスメアゴルは、フロドとサムを仲違いさせ、フロドを殺して指輪を手に入れようとしていた。そうとは知らないフロドとサムは、スメアゴルの道案内の下、モルドールへの旅を続けていたが、スメアゴルの策略にハマり、仲違いをしてしまい、フロドとサムは別れ別れになってしまう。ローハンへのサルマンの攻略を阻止したアラゴルンやガンダルフであったが、今度はサウロンがゴンドール攻略を狙っていることを知り、ゴンドールに足を向け、執政官に危機を知らせる。しかし、息子であるボロミアを失った執政官は聞く耳を持たなかった。ガンダルフは一計を案じ、ローハン応援の狼煙を上げることにする。ローハンはその狼煙を見て、ゴンドールの危機を知り、兵をゴンドールに送り込む。しかし、ローハンの軍勢がゴンドールに着く前にサウロンの兵士たちはゴンドールを攻略開始し、兵士たちはガンダルフの指示の元、サウロンの兵士たちと対決する。ゴンドール支援の兵を向けたローハンだったが、それだけではサウロンの兵たちに対して勝ち目はなかった。アラゴルンは、ゴンドールに協力するとかつて誓いを立てた死者の霊と交渉し、対サウロンの軍勢を加勢させる。

レビュー

 J・R・R・トールキンの壮大なファンタジー小説「指輪物語」三部作の完結編にあたる作品が、この「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」です。201分というかなり長い作品ではありますが、興行収入は378百万ドルを北米だけで稼ぎ出し、アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚色賞を含む11部門にノミネートされ、そのノミネート全てで受賞するという快挙を成し遂げています。これは、この作品だけでなく、前作、前々作の三部作を表彰するという意味合いも持っているかと思います。映画の評価も極めて高く、Rotten Tomatoesの批評家評価は93%、観客評価は86%と高水準を維持しています。

 今作は、完結編であるという立ち位置にあり、主人公フロドが指輪を滅びの山に投げ込んで消滅させる、というイベントが用意されていますが、それは物語のクライマックスに用意され、そこに至るまでのフロドとサム、ゴラムであるスメアゴルのモルドールへの旅と、サウロンが人間の国であるゴンドール攻略を狙っていて、それを阻止すべく戦いに挑むガンダルフやローハンの兵士たち、死者の霊を戦いに参加させようとするアラゴルンの想い等が交差するような展開になっており、全く飽きさせることがありません。

 その中でもゴラムであるスメアゴルの指輪の魔力に囚われた心が、フロドを危機に追いやるという企みに移ろい行き、指輪の魔力がスメアゴルにいかに影響を与えているかが、如実にわかるようになっています。そのスメアゴルの企みにより、フロドはサムを鬱陶しく思うようになり、サムと離れてスメアゴルと二人で旅を続けることになりますが、サムはフロドのことを少しも疑わず、フロドを助けるために奮戦する姿は、この作品での第二の主人公ではないかと思わせるところがあります。ラストのシーンを見ても、サムが生き続けていく限り物語は終わらない、といった展開になっており、この作品の影の主役はサムなのだと思います。

 フロド自身は、スメアゴルほどではないにしろ、やはり指輪の魔力に囚われてきており、彼の言動は段々おかしくなっていきます。クライマックスの滅びの山での指輪消滅のシーンにおけるフロドの行動は、指輪の魔力に侵食されたフロドの心境を描いているもので、ここでスメアゴルが登場しなければ、指輪の行方はサウロンに渡ってしまったのではないかと思われるほどです。それほど、指輪の魔力は強大であるといえます。

 前作「二つの塔」では、サルマン配下のオークたちが、ローハン侵攻を起こしていて、アラゴルンたちがそれを阻止するという展開になっていましたが、今作「王の帰還」では、もう一つの人間の国、ゴンドールへのサウロン配下の兵士たちの侵攻とそれを阻止すべく活躍するガンダルフ、アラゴルン、レゴラス、ギムリたちの戦いが同時進行でメインに描かれています。ただ、旅の仲間たちの活躍は前作「二つの塔」ほどメインでは描かれておらず、今作「王の帰還」ではアラゴルン、レゴラス、ギムリの三人はゴンドールを助けるとかつて誓いを立てた死者の霊と交渉するという脇に回った役割を演じています。その代わりにガンダルフがゴンドールの生きる気力を失った執政官の代わりに兵士たちを鼓舞し、サウロンの兵士たちと戦うというスポットライトが用意されています。

 物語は、指輪を消滅させた後、サウロンが自滅し、その配下の兵士たちも消滅することで事件は解決しますが、その後のストーリーがまた素晴らしい出来を表しています。サブタイトルである「王の帰還」とは、ゴンドールの王にアラゴルンが着任するというもので、さすらいの人間であったアラゴルンが、ようやく収まるところに収まった出来事として描かれています。また、フロドは叔父であるビルボの旅の書物に自分の体験を書いた本を用意していて、それの続きをサムに依頼することになります。そして、フロド自身はエルフやガンダルフと共に別の世界に旅立っていきます。それが素晴らしい余韻を残しています。サムの人生はまだ終わりが見えず、その人生そのものが物語になるという展開もいい余韻になっているかと思います。

 映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。THE DIGITAL BITSによれば、実写部分は4Kスキャン、CG部分は2Kアップスケールの4Kで収録されているということになっていますので、半分ネイティヴ4K、半分アップスケール4Kでの収録になります。実写部分の映像の精細さは見事なものであり、映像の細かさがよく現れていて、人物の表情が微妙な描き方をしていると思います。色彩や明暗さもDOLBY VISIONならではの効果が出ていて、多彩な色彩に暗い場面での暗部の微妙な明暗をしっかり描き出しているといえます。音響はDOLBY ATMOSでリミックスされ、その空間オーディオぶりは、前二作以上に効果を発揮していると思います。頭上を含む音の移動感や方位感は映画の世界に没入した感覚を受け、映画の世界観を見事に表しているといえます。また、重低音の響きもかなりあり、響きが効果を出していると思います。

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