THE GIRL ON THE TRAIN(Blu-ray)|ガール・オン・ザ・トレイン|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

THE GIRL ON THE TRAIN(Blu-ray)|ガール・オン・ザ・トレイン|輸入盤DVDで観た映画のレビュー

THE GIRL ON THE TRAIN Blu-rayジャケット 邦題 ガール・オン・ザ・トレイン
レーベル UNIVERSAL PICTURES HOME ENTERTAINMENT
制作年度 2016年
上映時間 112分
監督 テイト・テイラー
出演 エミリー・ブラント、レベッカ・ファーガソン、ヘイリー・ベネット
画面 1.85:1/SDR
音声 dts:X 英語/dts Headphone X 英語/dts 5.1ch スペイン語、フランス語
字幕 英語、スペイン語、フランス語

あらすじ

レイチェルは現在は独り身だった。かつてはトムという男性と結婚生活をしていたのだが、子供に恵まれず、また、トムの職場のパーティの席でトラブルを起こしてしまい、トムから離婚を言い渡されていた。そのために、レイチェルはアルコール依存症になっていて、ボトルにお酒を入れて終始飲んでいるような状態だった。レイチェルの唯一の慰めは、風景や人物をスケッチすることだった。

そのレイチェルは、仕事でニューヨークに行くために、毎日近郊の都市から列車で通勤していた。レイチェルは沿線に住む人々を毎日眺め、その幸せそうな生活に恨めしい気持ちを持っていた。沿線に住む人々の中には別れた夫であるトムとトムの新しい妻であるアナもいて、トムとアナの間には赤ん坊がいた。

トムとアナは赤ん坊の世話のためにベビーシッターとしてミーガンを雇っていた。ミーガンはスコットという男性と一緒に暮らしていたのだが、ある金曜日の夜に行方不明になり、その後、他殺死体となって発見される。

その金曜日の夜、レイチェルは何かあったのかは本人の記憶になかったが、頭から血を流していて、身体中が泥だらけになっていた。それを自身が認識したのは翌日の朝のことであり、レイチェルはパニックになる。

ミーガン殺害事件が公になると、警察はレイチェルの事情調査を開始する。レイチェルの金曜の夜の行動が怪しかったのと、彼女自身の抱える問題が警察からミーガン殺害の容疑者として候補に上がっていたのである。

レイチェルは自身のアルコール依存症や子供ができないという問題に葛藤しながら、ミーガンの夫であるスコットに会ったり、あやふやな記憶の断片を繋ぎ止めながら、自分で事件の真相に辿り着こうとする。

その過程で、ミーガンの不倫疑惑が持ち上がり、事件の真相がその不倫事件と関係していることがわかってくる。そして、レイチェルは断片しかない金曜日の夜の記憶を繋ぎ止め出し、金曜の夜の事件の真相が次第に見えてくる。

レビュー

ポーラ・ホーキンズの同名小説を原作に映画化したのが、この「ガール・オン・ザ・トレイン」です。映画としては173百万ドルを全世界で稼ぎ出し、45百万ドルの制作費を軽く回収して大ヒットを記録しているのですが、作品の評価は芳しくなく、Rotten Tomatoesの批評家評価は44%、観客評価は49%とかなり腐った評価になっています。

映画はスリラーであり、夫であったトムに見捨てられ、アルコール依存症にもなって、子供を儲けて幸せな家族を築くという目標が達成できないことに苛立ちを感じるレイチェルが、別れた夫の子供のベビーシッターであるミーガンの失踪と殺人事件の真相を探るという物語です。

物語の展開上、どうしても犯人として怪しいのは主人公であるレイチェルなのですが、物語は現在と過去を行ったり来たりして、徐々に事件が起きるまでの登場人物の人生を克明に描いているため、事件の真相がわかると、想定外の犯人に驚く仕掛けが待っています。

主人公であるレイチェルが幸せを失い、他の家族の幸せな様子を毎日列車の車窓から眺めているという設定は、レイチェルの孤独感をことさら強調するものであり、斬新な設定です。ただ、その分物語としては重たいです。主人公の抱える闇が深すぎて、見ていて陰鬱な気分になってきます。ラストでもレイチェルは列車には乗るのですが、それが物語の進行上決まっていた定位置に座るのではなく、全く別の位置に座るところに、物語としてのわずかな光が見えてきます。

幸せそうな他の家族も実はいろいろな問題を抱えていて、それが殺人事件にまで発展するのですから、何が幸せなのか、何が不幸なのかは明確な判断は下せません。レイチェルの人生も不幸なのか、実は本人が思っているほど不幸でもないのか、微妙な演出になっています。

映像は2K/SDRで収録されています。撮影時には35mmフィルムだったようですが、DIは2Kでまとめられていますので、Blu-rayの解像度でも十分だと言えます。シーンによってはフォーカスが甘い所がありますが、基本的には2Kの解像度として十分なものは持っています。色彩管理がSDRなので、高輝度、暗部の明瞭度に限界はあるものの、このどことなく陰鬱なストーリーにおいては、ダークなトーンの色彩表現はマッチしています。

音響はdts:Xで収録されています。物語の演出上、登場人物のセリフのみのシーンが多く、そもそもBGMや環境音が映画全編で流れるわけでもありませんので、効果は限定的です。列車の走行音は、視聴者の頭上を含めて臨場感を演出していますし、時々鳴り響くBGMもサラウンドチャンネル全開なのですが、いかんせん静かなシーンが多すぎて、dts:Xである必然性は少ないです。劇場公開時にはDOLBY DIGITALだったのはエンドクレジットで判別できますので、Blu-ray化の際にミックスをやり直しています。

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