『ダンボ(2019)』4K UHD Blu-ray(輸入盤)レビュー|空飛ぶ子象をティム・バートンが再創造。親子の絆と“はみ出し者”への優しい眼差し【HDR10 / Dolby Atmos】

『ダンボ(2019)』4K UHD Blu-ray(輸入盤)レビュー|空飛ぶ子象をティム・バートンが再創造。親子の絆と“はみ出し者”への優しい眼差し【HDR10 / Dolby Atmos】

ディズニーの名作アニメ『ダンボ』を、ティム・バートン監督が実写映画として再創造したのが2019年版『ダンボ』である。

耳の大きな子象ダンボが空を飛ぶというファンタジーを軸にしながら、物語の中心にあるのは、親を慕う子供の心情と、社会からはみ出した者たちが身を寄せ合うサーカス団の世界である。
ティム・バートン作品としては重苦しさは控えめだが、“普通ではない存在”に寄り添う視線はしっかり残っている。

『ダンボ(2019)』4K UHD Blu-ray 基本仕様

Dumbo 4K UHD Blu-rayジャケット 邦題 ダンボ
原題 Dumbo
レーベル Buena Vista Home Entertainment
制作年度 2019年(劇場公開版)
上映時間 111分(劇場公開版)
監督 ティム・バートン
出演 コリン・ファレル, ダニー・デヴィート, マイケル・キートン
画面 1.85:1 / HDR10
音声 Dolby Atmos 英語 / Dolby Digital Plus 7.1ch スペイン語, フランス語, 日本語
字幕 英語, スペイン語, フランス語, 日本語
リージョン UHD=リージョンフリー, BD=A, B, C
パッケージ UHD 1枚(本編)/ BD 1枚(本編 + 特典)

あらすじ(短縮版)

移動サーカス団に生まれた、異常に大きな耳を持つ子象ダンボ。
子供たちのジョーとミリーは、ダンボがその耳で空を飛べることに気づく。やがてダンボは一躍人気者になるが、実業家ヴァンデヴァーに利用され、母象ジャンボとも引き離されてしまう。

あらすじ(詳細)

ジョーとミリーの二人は、移動サーカス団「メディチ・ブラザース・サーカス」に所属していた。父ホルトもかつてはサーカス団で乗馬曲芸をしていたが、戦争に出征して長く不在だった。

戦争から戻ったホルトは左腕を失っていた。さらに、彼が不在の間に妻アリーはインフルエンザで亡くなっており、ジョーとミリーは母を失っていた。サーカス団の団長マックスは、以前のように曲芸ができないホルトに、象の世話を任せる。

その象ジャンボは妊娠しており、やがて子象を出産する。だが、生まれてきた子象は異常に大きな耳を持っていた。ジョーとミリーはその子象の世話をするうち、鳥の羽を吸い込んだ子象が、大きな耳を使って空を飛べることを発見する。

マックスは、空を飛ぶ子象をサーカスの目玉にしようと考える。ショーの中で子象は「ダンボ」と呼ばれるようになり、トラブルの末に空を飛んだことで一躍話題となる。

その噂を聞きつけた実業家ヴァンデヴァーは、サーカス団を買収し、自身が経営する巨大遊園地「ドリームランド」でダンボを目玉にしたショーを開催しようとする。空中ブランコのスター、コレットもダンボと共演することになるが、ショーは失敗に終わる。

やがてヴァンデヴァーは、サーカス団の団員を切り捨てる。さらにジョーやミリーたちは、ダンボの母ジャンボもドリームランドで見せ物にされていることを知る。彼らはダンボとジャンボを救うため、サーカス団の仲間たちと共に逆転劇を仕掛ける。

見どころとテーマ

  • ディズニー名作アニメをティム・バートンが実写化
    空飛ぶ子象というファンタジーを、CGと実写の融合で再構成したリメイク作品。
  • 親を慕う子供の物語
    ダンボと母ジャンボ、ジョーとミリーと父ホルトを対比させ、親子の絆を中心に据えている。
  • サーカス団という“はみ出し者”の居場所
    世間から外れた者たちが集まるサーカス団は、ティム・バートン作品らしいフリークスの共同体として機能している。
  • ヴァンデヴァーという冷酷な世間の象徴
    ダンボを金儲けの道具にしようとする実業家は、作品内の明確なヴィランとして描かれる。
  • コレットの変化
    ヴァンデヴァー側の存在だったコレットが、ダンボやサーカス団と関わることで、次第に彼らの側へと立場を変えていく。
  • ティム・バートン作品としては軽やかなファンタジー
    社会から疎外される者への視線はあるが、過度に暗くならず、家族向けファンタジーとして成立している。

4K UHD Blu-ray 映像レビュー【4K / HDR10】

本作は6.5Kデジタルカメラで撮影されているが、最終DIは2Kのため、4K UHD Blu-rayではアップスケール4K収録となる。

ネイティヴ4Kではないものの、CGを多用した作品としては解像感に大きな不満はない。ダンボの質感、サーカス団の衣装、ドリームランドの装飾など、細部は十分に見応えがある。

映像面で印象的なのは、サーカス団とドリームランドで色調が明確に変わる点だ。
メディチ・ブラザース・サーカスの場面は、朝日や夕暮れを思わせる暖色寄りの柔らかい色調で描かれ、人の温もりを感じさせる。対してドリームランドは、明るくクリアでありながら、どこか冷たく人工的な印象が強い。

劇場公開時にはDolby Vision対応だったが、このUHDではHDR10のみの収録。それでもドリームランドの照明やショーの派手な光はHDRの恩恵が大きく、臨場感は高い。ただ、そのきらびやかさが必ずしも安らぎを意味しないところが、本作の映像設計の面白さである。

映像スコア:86点 —— アップスケール4Kながら質感は良好。暖色のサーカスと冷たいドリームランドの対比が印象的。

音響レビュー【Dolby Atmos】

劇場公開時と同じく、4K UHD Blu-rayもDolby Atmos収録。
ただし、ディズニー系UHDに多い傾向として収録音量はやや小さめなので、視聴時は普段より少しボリュームを上げた方がよい。

音響面では、ダニー・エルフマンのオーケストラ音楽が大きな役割を担っている。音楽が室内全体に広がり、ファンタジー映画としての包囲感を高めている。
一方で、ダンボが飛翔する場面におけるオブジェクト移動は、明確な定位感という点ではやや控えめ。もっと派手に頭上を飛び回るようなAtmosを期待すると、少し物足りなさはある。

それでも、音楽の広がりと低域の厚みは十分で、要所では音に包み込まれる感覚がある。効果音よりもスコア主導で空間を作るAtmosミックスと言える。

音響スコア:84点 —— 派手なオブジェクト移動よりも、オーケストラの包囲感で魅せるファンタジー寄りAtmos。

総評

2019年版『ダンボ』は、オリジナルアニメをそのままなぞるのではなく、ティム・バートンらしい“はみ出し者たちの物語”として再構成した実写版である。

とはいえ、『バットマン リターンズ』のような濃いダークサイドや、『シザーハンズ』的な痛切な疎外感が前面に出る作品ではない。むしろ、親を求める子供の心情と、サーカス団という疑似家族の温かさを軸にした、比較的まっすぐなファンタジー映画である。

CGのダンボには多少の違和感もあるが、空を飛ぶ場面の魅力はやはり大きい。かつてアニメでしか表現できなかった夢を実写映像の中で成立させている点には、テクノロジーの進歩も感じられる。

総合スコア:85点 —— ティム・バートン色はやや控えめだが、親子の絆とサーカス団の温もりで見せる、優しい実写ファンタジー。

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