『ターミネーター2/拡張特別編』Blu-ray(輸入盤)レビュー|“拡張特別編”だから見えてくる人間と機械の関係。別エンディングまで収録した最長版【SDR / dts-HD MA】
1991年に公開され、SFアクション映画の歴史を塗り替えた『ターミネーター2』。その劇場公開版に約16分の未公開シーンを追加した「特別編」が1993年に登場し、さらに別エンディングなどを追加した最長版が、この「拡張特別編」である。
劇場公開版ではテンポを優先して削除された、ターミネーターのCPUを学習モードへ切り替える場面、カイル・リースの再登場、T-1000の異変、そしてジョンとターミネーターの擬似的な父子関係を深める描写が復活。さらに拡張特別編では、T-1000がジョンの部屋を探索する場面や、まったく異なる未来を描いたエンディングまで加わっている。
映画としての完成度やテンポでは劇場公開版に分がある一方、「機械は人間性を学べるのか」という本作のテーマを最も明確に味わえるのは、この拡張特別編だろう。現在のAI時代に改めて見ると、1991年にジェームズ・キャメロンが描いていたテーマの先見性にも驚かされる。
『ターミネーター2/拡張特別編』輸入盤 Blu-ray 基本仕様
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邦題 | ターミネーター2/拡張特別編 |
|---|---|---|
| 原題 | TERMINATOR 2:JUDGEMENT DAY / EXTENDED SPECIAL EDITION | |
| レーベル | Lionsgate Home Entertainment | |
| 制作年度 | 1991年(劇場公開版) / 2000年(完全版) | |
| 上映時間 | 137分(劇場公開版) / 156分(完全版) | |
| 監督 | ジェームズ・キャメロン | |
| 出演 | アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、エドワード・ファーロング | |
| 画面 | 2.39:1 / SDR | |
| 音声 | dts-HD MA 6.1ch 英語 / Dolby Digital EX 5.1ch 英語 / Dolby Digital 2.0ch フランス語 / Dolby Digital Headphone 2.0ch 英語 | |
| 字幕 | 英語、スペイン語、フランス語 | |
| リージョン | BD=A | |
| パッケージ | BD 1枚(本編 + 特典) |
あらすじ(短縮版)
未来で人類抵抗軍を率いるジョン・コナーを抹殺するため、スカイネットは液体金属で作られた最新型ターミネーターT-1000を少年時代のジョンのもとへ送り込む。
一方、未来のジョンも自分自身を守るため、かつて母サラを襲ったものと同型のT-800を守護者として過去へ送り込む。ジョン、サラ、T-800はT-1000から逃れながら、未来の核戦争そのものを阻止するため、スカイネット誕生の原因へと迫っていく。
あらすじ(詳細)
1997年8月29日。人類が生み出したAI「スカイネット」によって核戦争が引き起こされ、多くの人々が犠牲となった。その後もスカイネットは機械軍を使って生き残った人類を抹殺しようとするが、人類側はジョン・コナーをリーダーとして抵抗を続けていた。
スカイネットはかつて、ジョンの誕生そのものを阻止するため、1984年へターミネーターを送り込み、母親となるサラ・コナーを抹殺しようとしていた。しかし、その計画は失敗。そこで今度は、少年時代のジョン自身を殺害するため、新型ターミネーターT-1000を過去へ送り込む。
未来のジョンもまた、自分自身を守るため、一体の守護者を過去へ送り込んでいた。
現代のカリフォルニアでは、サラ・コナーはスカイネット誕生を阻止するためサイバーダイン社を破壊しようとして失敗し、精神病院へ収容されていた。サラはスカイネットと未来の核戦争についてシルヴァーマン医師たちへ訴え続けるが、その話を信じる者はいなかった。
一方、息子のジョンは里親のもとで暮らしていたものの、家庭環境には馴染めず、反抗的な日々を送っていた。
そんなジョンの前に、二体のターミネーターが現れる。一体は1984年にサラを襲ったものと同型のT-800。そしてもう一体は、液体金属によって構成され、自在に姿を変えることのできる最新型T-1000だった。
しかし、今回T-800は敵ではない。未来のジョンによって再プログラムされ、少年時代の自分自身を守るために送り込まれた守護者だった。
T-1000の襲撃をかわしたジョンとT-800は、ジョンの里親がすでにT-1000に殺害されていることを知る。さらに、T-1000がサラの存在にも気づいていることから、二人は精神病院へ向かう。
精神病院では、脱走を試みるサラ、彼女を救おうとするジョンとT-800、そしてサラを狙うT-1000が鉢合わせとなり、激しい攻防戦が繰り広げられる。三人は辛くもT-1000の追撃をかわし、逃亡に成功する。
その後ジョンは、T-800のCPUが学習可能な状態へ切り替えられることを知る。ターミネーターに対する強い不信感を持つサラはCPUそのものを破壊しようとするが、ジョンの必死の説得によって思いとどまり、CPUは学習モードへ変更される。
南へ逃亡する中、ジョンはT-800へ人間の言葉や行動を教えていく。一方サラは、スカイネット誕生の中心人物がサイバーダイン社の技術者マイルズ・ダイソンであることを知り、未来を変えるため単独で彼を殺害しようとする。
しかしサラはマイルズを殺し切ることができず、そこへ駆けつけたジョンとT-800は、未来に何が起きるのかをマイルズへ説明する。
自分の研究が人類滅亡へつながると知ったマイルズは、スカイネット開発に関する研究資料をすべて破棄することを決意する。そして一行はサイバーダイン社へ侵入するが、そこへ警察が押し寄せ、再び激しい戦いが始まる。
見どころとテーマ
- 『ターミネーター2』最長版となる「拡張特別編」
1991年の劇場公開版に未公開シーンを加えた1993年の「特別編」に、さらに追加シーンと別エンディングを加えたバージョン。2000年発売のUltimate Edition DVDで隠しコマンドによって初めて通しで鑑賞できるようになり、本Blu-rayでも隠しコマンド「82997」を入力することで視聴できる。 - 機械が人間性を学んでいくというテーマが明確
劇場公開版では削除されたT-800のCPUを学習モードへ切り替える場面が復活。ターミネーターが単なる命令実行機械から、人間の感情や倫理を学ぶ存在へ変化していく過程がより明確になっている。AIが社会へ浸透した現在に見ると、さらに興味深いテーマでもある。 - ジョンとターミネーターの擬似的な父子関係
父を知らずに育ったジョンと、彼を守りながら人間性を学んでいくT-800との関係が、擬似的な父と息子の関係としてより深く描かれる。追加シーンによって二人の距離が縮まるため、クライマックスの感情的な効果もさらに大きくなっている。 - 第1作『ターミネーター』とのつながりが強化
劇場公開版ではテンポを重視して削除されたカイル・リースの登場シーンなどが復活。そのため、サラが1984年に経験した出来事と本作とのつながりがより明確になり、第1作の直接的な続編としての印象が強まっている。 - サラ・コナーのモノローグが作品を導く
映画冒頭からサラのモノローグによって未来の世界や物語の背景が説明されていく。そのため、本作はジョンやT-800だけでなく、サラ自身の物語でもあることが強く印象づけられる。 - T-1000の異変を補完する追加シーン
特別編では、T-1000が物語後半で次第に異常を起こしていることを示す描写が追加されている。劇場公開版では分かりにくかったT-1000の変化が補足され、クライマックスへ向かう流れにも説得力が加わっている。 - 拡張特別編だけの完全ハッピーエンド
最大の違いは、未来の世界を描いた別エンディング。劇場公開版や特別編とは異なる結末が提示され、「もしスカイネット誕生を本当に阻止できたなら」という可能性を映像として確認できる。 - 4K UHD Blu-ray同梱BDより安定した拡張特別編
現在発売されている4K UHD Blu-rayでは劇場公開版こそ4Kで収録されているが、特別編や拡張特別編では追加部分との画質・音質差が目立つ。本Blu-rayでは作品全体のクオリティが比較的統一されており、拡張特別編を通して鑑賞するには適している。
Blu-ray 映像レビュー【2K / SDR】
1993年にビデオ向けとして制作された特別編を含む『ターミネーター2』は、レーザーディスク、DVD、Blu-rayと、家庭用ビデオフォーマットが変わるたびに何度もマスターが制作されてきた作品でもある。
拡張特別編は2000年発売のUltimate Edition DVDで初めて一本の作品として鑑賞できるようになり、本Blu-rayでも隠しコマンド「82997」を入力することで再生できる。
映像は2KマスターによるSDR収録。
後年発売された4K UHD Blu-rayでは、強いノイズリダクションによってフィルムグレインがほぼ除去され、フィルム作品としての質感が薄れてしまった印象があった。それに対し、本Blu-rayではそこまで極端なノイズリダクション処理は行われておらず、フィルムグレインが多少残っている。
そのため、純粋な解像度では4K UHD Blu-rayには及ばないものの、35mmフィルム作品らしい質感についてはこちらの方が自然に感じられる部分がある。
人物の顔、衣装、車両、サイバーダイン社内のセットなども、2K解像度としては十分な情報量を持っている。映像の輪郭を不自然に強調した印象も少なく、映画らしい映像としてまとまっている。
色彩はSDRであり、HDR10収録の4K UHD Blu-rayと比較すると輝度や色域の面では制限を受ける。ただし、本作そのものがブルーやグレーを基調にしたややモノトーン的な色彩設計であるため、SDRでも作品本来のトーンは十分に感じられる。
追加シーンと劇場公開版由来の場面では、若干の色調差や解像感の違いが見られる。また、ショットによってはピントが甘い部分も存在するが、拡張特別編を一本の映画として見る際に大きく集中力を削ぐほどではない。
4K UHD Blu-rayほどの派手な高精細感はないものの、フィルムらしいトーンと作品全体の統一感という意味では、現在でも十分に価値のあるBlu-ray画質である。
映像スコア:84点 —— 4Kほどの解像感はないが、フィルムの質感と拡張特別編全体の統一感ではこちらに分がある。
音響レビュー【dts-HD MA 6.1ch】
劇場公開時の『ターミネーター2』はDolby Stereoによる4chサラウンドを中心に上映されていたが、本Blu-rayではdts-HD MA 6.1chへと大幅に拡張されている。
さらにDolby Digital EX 5.1chも収録されており、従来の5.1chにサラウンドバック1chを加えた音場を構築できる。
この6.1chサラウンドの完成度は非常に高い。
環境音、効果音、ブラッド・フィーデルによるBGMが映像に合わせて前後左右へ展開し、視聴者を作品世界へ引き込む。特にアクション場面では、銃撃音、車両の移動、爆発音が周囲を飛び交い、1991年作品とは思えないほど高いサラウンド効果を発揮する。
なかでも印象的なのが、精神病院のエレベーター周辺で繰り広げられるT-800とT-1000の攻防戦である。
この場面はレーザーディスク時代のDolby Surroundでもサラウンド効果の高さが評価されていたが、dts-HD MA 6.1chでは音の移動や包囲感がより明確になり、作品を代表するホームシアター向けシーンになっている。
低域も非常に強力で、銃撃、爆発、車両の衝突などでLFEが積極的に使われる。単に低音を鳴らすだけではなく、アクションシーンの緊張感を高める役割を果たしている。
dts Neural:Xを使用すると、もともとの6.1ch音場からさらに高さ方向へ音が展開される。ヘリコプターや銃撃音、環境音などが擬似的に頭上へ回り込み、イマーシヴ・サラウンドとしての没入感も高い。
最新のDolby Atmos作品とは方式そのものが異なるが、チャンネルベース・サラウンドとしては現在でも非常に完成度の高いミックスである。
音響スコア:93点 —— 6.1chサラウンドの完成度は現在でも一級品。アクション映画のホームシアター再生として極めて優秀。
総評
『ターミネーター2/拡張特別編』は、大ヒット映画『ターミネーター2』へ未公開シーンを追加した「特別編」に、さらに追加シーンと別エンディングを組み込んだ最長バージョンである。
劇場公開版と比較すると上映時間は長くなり、アクション映画としてのテンポでは不利な部分もある。しかし、その代わりに第1作とのつながり、サラの心理、T-1000の異変、ジョンとT-800の関係、そして「機械は人間性を学ぶことができるのか」というテーマがより深く描かれている。
とりわけ、T-800のCPUを学習モードへ切り替える場面は重要である。
この場面が存在することで、T-800が物語後半に向けて人間の言葉や感情を理解していく理由が明確になり、ジョンとの関係も単なる「少年と護衛ロボット」ではなく、擬似的な父と息子の関係へ変化していく。
その結果、クライマックスでT-800が取る行動にも、劇場公開版以上の感情的な重みが加わる。
拡張特別編でさらに加えられたT-1000によるジョンの部屋の探索シーンは物語を補足するものだが、最大の違いはやはり別エンディングだろう。
完全なハッピーエンドとして描かれる未来を見ると、「もしこの結末が正式版だったなら、『ターミネーター』シリーズはここで完結していたのではないか」と思わせられる。
逆に言えば、劇場公開版や特別編では未来を完全には確定させなかったため、その後もシリーズを継続できる余地が残されたとも考えられる。
また、本Blu-rayの価値は、拡張特別編を比較的安定した映像・音響品質で一本通して鑑賞できる点にもある。
現在の4K UHD Blu-rayでは劇場公開版は4Kで楽しめるものの、追加シーンを含む特別編や拡張特別編では素材差が目立つ。それに対し、本Blu-rayは2K/SDRではあるものの全編の統一感が高く、dts-HD MA 6.1chの音響も非常に優秀である。
『ターミネーター2』という映画をアクション大作として見るなら劇場公開版、物語やテーマをより深く味わうなら特別編、そして「あり得たもう一つの完全版」として見るなら拡張特別編。それぞれに存在意義がある。
その中でも拡張特別編は、ジェームズ・キャメロンが撮影した素材を最も多く盛り込み、機械と人間、親と子、そして未来を変えることができるのかという本作のテーマを最も明確に確認できるバージョンである。
総合スコア:93点 —— 『ターミネーター2』のテーマを最も深く味わえる“拡張特別編”。別エンディングまで含め、シリーズのもう一つの完結形を体験できる貴重なBlu-ray。

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