ザ・メニュー(4K UHD/Disney+)/Apple TVで観た映画のレビュー

ザ・メニュー(4K UHD/Disney+)

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原題 the MENU
レーベル SEARCHLIGHT PICTURES
制作年度 2022年
上映時間 107分
監督 マーク・マイロッド
出演 レイフ・ファインズ、アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト
画面 2.39:1/DOLBY VISION
音声 DOLBY ATMOS 英語
字幕 日本語

あらすじ

タイラーとマーゴのカップルは、超一流シェフであるスローヴィクが務めるレストランに招待された。超人気店であるスローヴィクの店には入店することが難しく、ようやくスローヴィクからの招待状を手に入れたのだった。スローヴィクの店はホートン島にあり、船で渡る必要があったが、船に乗船するのは様々な事情で金を持っているセレブばかりだった。タイラーは実は別の女性とレストランに訪れる予定だったが、その女性に振られてマーゴを代役に立ててレストランに入店するのだった。ただ、有名料理批評家から評価されたことで有名になったスローヴィクの料理が味わえる、と楽しみにしていたタイラーに比べ、マーゴはその料理に違和感を感じていた。レストランに入店し、スローヴィクの作るコース料理が次第に運ばれてくるが、そこで起こる事件に客たちは動揺する。そして、違和感を感じていたマーゴは料理に手をつけなかった。それが、後々マーゴの運命を左右する。

レビュー

コロナ禍が始まって以降、劇場で上映される映画は中規模の作品が少なくなりましたが、この「ザ・メニュー」はその一つに挙げられる作品ではないかと思います。2022年11月18日に日本では劇場公開され、北米の興行収入では制作費を多少上回り、Rotten Tomatoesの批評家評価は89%、観客評価は76%と意外に高評価を得ている作品です。この作品が2023年1月11日に早くもDisney+で見放題配信開始されましたので、視聴しました。

映画はブラックコメディー&ホラー的要素を加えたような作品になっています。また、超一流シェフ、スローヴィクが生み出す数々のフルコースの料理の美しさに目を取られる作品にもなっています。一種の料理映画ではあるのですが、その料理の調理方法が実はホラー的展開に基づいており、そこがブラックコメディー的要素を生み出していると思います。

主人公はタイラーとマーゴのカップルと思いきや、実はマーゴが単独主役としての立ち位置にいる作品であることが、物語が進むにつれ明らかにされていきます。超一流シェフであるスローヴィクの料理が食べられると喜ぶタイラーに対して、マーゴはその料理に違和感を抱き、出てくるフルコースに手をつけないところから、次第にスローヴィクとの対立を生み出し、マーゴが自身の立場を明確にできるのか、という展開に突き進んでいきます。この辺は、スローヴィクの料理を手につけるタイラーや、その他の客たちとの対比においても徐々に明らかになっていきます。

タイラーは、禁じられていた料理の写真をスマートフォンでこっそり撮影してしまうほどスローヴィクの料理に陶酔していますが、そのために最終的には自身の立場を失っていきます。彼に待ち受けている運命には、少々衝撃を受けるところがあります。タイラーばかりではなく、他の客たちも次第に自身の立ち位置に不安を感じ、出されるコース料理の調理法に衝撃を受け、レストランから出ていきたくなりますが、スローヴィクがそれを許さないところが、少々怖いところでもあります。

マーゴとスローヴィクの対決は、クライマックスでマーゴが意外な料理をスローヴィクに要求した所で頂点に達します。その料理はコース料理は何の関係もないありふれたものですが、物語前半で出てくるコース料理の内容とも関係があったりして、その料理を注文するのか、と驚かされます。そして、その料理自体がマーゴの運命を左右する料理になっていて、ラストのキーになっているので、面白いと思います。

ラストはホラー映画のラストそっくりですが、料理映画なので予想外の展開になっていて、余韻が残ります。ホラー映画だと殺人鬼が暴れ回りますが、この映画は殺人鬼は出てこないので、超一流シェフであるスローヴィクがその役割を代わりに果たしていると言ってもいいかと思います。救いがあるようでないようなラストですが、この作品を終わらせるにはこういう展開しかないかなと思います。

映像は4K/DOLBY VISIONで収録されています。マスターデータが4Kですので、ネイティヴ4Kでの収録になっています。ディスクメディアではBlu-rayしかリリースされないので、このDisney+やiTunes Moviesでの4K配信は高画質ファンとしては貴重なものになっています。解像度は申し分なく数々の料理を描写していますし、DOLBY VISIONによる色彩管理での見栄えの良い料理は、見ていて味覚を刺激します。当然衝撃的な映像も艶やかな色彩で表示されますので、よりリアルな映像が堪能できます。

音響はDOLBY ATMOSで収録されています。レストラン内でのシーンが大半のため、三次元サラウンドの効果がないかと思ったら、スローヴィクが打つ手の音とか、料理人たちの掛け声、客のセリフの配置などで意外なほど三次元サラウンドの効果を発揮していて、結構魅力あるサラウンドを提供しています。

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